谷川うさ子トップページへ お問い合わせはこちら

うさぎです。

女性向けカウンセリング・ゼミ
男性の「女性対応」カウンセリング・ゼミ

学習ガイダンス
ゼミ・イメージ切り替え法
スーパーバイザーカウンセラー認定コース
クラス、AクラスNo.45
学習テーマ:教える・育てる・導くカウンセリング術

ポルソナーレ式イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第235号
11期19回め平成21年11月14日
脳の働き方と言語の学習回路/浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
日本語の文法理解と教育法
「ハーバード流交渉術」・IV
(ハーバード大学交渉学研究所・フィッシャー&ユーリー)

エクササイズ:日本型の分裂病を超える会話の学習モデル
不安な会話を受けとめるイメージ療法

はじめに

 ゼミ・イメージ切り替え法、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー・認定コース、Aクラス、45のゼミをお届けします。
 アメリカ発の「金融システムのバブル」が崩壊して一年が過ぎました。日本も政権が変わり、経済社会の立て直しがすすめられています。エコノミストの発言を見ると「デフレの長期化、あと3年を覚悟」(大和総研シニアエコノミスト・熊谷亮丸。『エコノミスト』誌・2009・11/11)と、需要低迷や雇用悪化の長期化が指摘されています。GDPギャップがマイナス4%以下、マイナス6%で推移しているというのが根拠です。
 マイナスとは需要不足、供給過剰のことです。日本の企業は5%のギャップを埋める必要に迫られています。このマイナス5%が「日本人のバブル性の観念」です。この激動の潮流を乗り切るには、「行動を止めない日本語の能力」が必要です。今回は、そのための対策をご一緒に考えます。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. まず、「日本型の分裂病」とは?を理解しましょう
  2. 日本型の分裂病の例・強迫観念
  3. 日本型の分裂病のメカニズム
  4. 日本人はなぜ「こわい」と思うのかの起源
  5. 日本人の宗教意識は「アニミズム」
  6. 日本人の強迫観念は「アニミズム」をベースにしている
  7. 日本の女性が「外」に追いやられたことがアニミズムのルーツである
  8. 日本の女性が真の主体を回復させなければ日本型の分裂病は解消しない
  9. エクササイズ
脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
日本語の文法理解と教育法
「ハーバード流交渉術」・IV
(ハーバード大学交渉学研究所・フィッシャー&ユーリー、三笠書房・刊よりリライト・再構成)
まず、「日本型の分裂病」とは?を理解しましょう

 ポルソナーレの見解では、心や精神の病といわれているものは「精神分裂病」が大きな基盤になっています。このことについて定義したのは、ドイツの「H・ミュラー」(精神医学者)です。

 H・ミュラーは、「精神分裂病は、その時代、その国で最も知性の水準の高い言葉が曖昧であること、また、曖昧に覚えていることが原因である」とのべています。

 このH・ミュラーの定義にもとづいて「日本語」を見ると、いくつもの「曖昧さ」があることは、すでにお伝えしているとおりです。

 その具体的な例は、次のようなものです。

A・「雨が降った」
B・「ああ、驚いた」

 AもBも「降った」「驚いた」と「た」を使って表現しています。
 この文の意味を考えてみます。
 Aは「雨が降った」という過去のことを説明しています。
 Bの「驚いた」は、必ずしも過去のことの説明ではありません。今、何かに驚いたという気持ちの発生と持続のことを説明しています。

 すると、Bの「た」は、「現在」のことの表現です。同じ「た」を使って「過去」のことも「現在」のことも表現するという日本語の特性があります。日本人は、日常的にこのような表現をしているので、誰も気にせず、そして、AとBの表現の主旨が「伝わる」というところにもう一つの「曖昧さ」があります。

 国語学者・大野晋はこう説明します。

?日本人の使う日本語(和語・やまとことば)には、過去、現在、未来といった「時制」の区別がない。とくに日本人にとっての「未来」とは、推測したり推量するもので、個人個人の「主観」の中にある。

?日本人は「省略」という曖昧な表現をおこなう。それは、日本語が「内」(うち)という「内輪」(うちわ)の人間とだけ話して、「外」(そと)(輪の外)にいる人とは話さないというしくみになっているからだ。内(うち)なる人間とは「お互いが分かっているはずだ」と思うことは省略して「説明しない」という話し方をする。ここでは、「あること」を同意したり、合意し合ってこれを行動にあらわすということが「曖昧」にされる。すると、日本人は、それぞれの個人は、大人、子ども、老人、女性、男性のいずれであっても「主体」をもっていて、自分の身体は、自分の思う意思のとおりにあらわすという「意思主体」についての認識や理解が曖昧になる。

日本型の分裂病の例・強迫観念

 このようないくつもの日本語にたいする曖昧さは、「H・ミュラー」のいう精神分裂病をつくり出します。具体的には次のようなものです。

◎強迫観念(日本型の分裂病の第一期の症状例)

1.「不潔なものが怖い…ガム、公衆トイレ、電車の吊り革、などに付いている汚れ、菌などが自分に付いて来るようなイメージが思い浮ぶ。
そこで、道路ではガムを踏まないように目で見て探す。
公衆トイレは、便座にトイレットペーパーを厚くしきつめて座る。電車の吊り革はそのつどアルコール綿で拭き消毒して手でつかむ。」

2.「狭い所が怖い…会議室などの狭い空間に居つづけることに恐怖を感じる。そこで、このような狭い空間に行くことを避ける行動をとる。」

3.「特定の人と話すのが怖い…その特定の人と話した過去の記憶が常に思い浮ぶ。
一人の時にそのイメージが表象する。すると心拍が低下して息苦しくなる。心拍の低下にともなって居ても立ってもいられなくなり、無目的な行動をおこなう。
すると、この行動にともなって無呼吸状態が回復する。
その特定の人と話す局面では心拍が低下するので息苦しくなる。そこで黙る、下を向いて話さない、という行動をとる。

日本型の分裂病のメカニズム

■ここにあげているのは、「日本型の分裂病」の「第一期」の症状の一例です。

 「日本型の分裂病」とは何のことでしょうか。仕事、学校に行く、社会的な公共の場面に参加する、といった「社会的な行動」は成立して、実際に行動がくりかえされているということが最大の特徴です。しかし、強迫観念の事例に見るように「狭い所が恐怖」「ガム、不潔なものが恐怖」というように「認識の内容」にバイアスが生じています。「認識」とは、何のことでしたでしょうか。

 類似した対象のAとBとを比べる、という比較が「認識」することです。AとBとを比べて、形や性質、形状の様子などの違いを「認知する」ことです。

 「認知」とは、人間の五官覚の「目」「手」「舌」「耳」「鼻」などのどれかの「知覚」で対象となるものごとと関わりをもつことです。そして「皮ふ感覚の触覚」で対象の「実在性」を記憶することをいいます。「実在性の記憶」とは、たとえば「視覚」の知覚による関係づけであるならば、「色」「光」「点」「線」「面」などが実在性を確定するでしょう。記憶は、これらのイメージを表象するのです。

 「認識」とは、このような「知覚」の実在性にもとづいて、実在性の差異をそのものの特性として抽象的にとらえることをいいます。この抽象とは「記号性」といいかえても同じことです。Aが猫、Bが犬であるとしましょう。猫と犬の目で見た「認知の差異」とは何でしょうか。姿、大きさ、体の様子、動き方にそれぞれの特徴があります。決定的な違いは「猫はジャンプして高い所を移動する」「犬は、地面を猫よりも速く走る」というものでしょう。

 「日本型の分裂病」の第一期の症状例「強迫観念」は、「公衆トイレ」「電車の吊り輪」「道路」といった社会的な空間性の場所や施設、設備といったものは、正常に認知しています。しかし「認識の内容」がバイアスに屈折しています。

 「公衆トイレ」ならば、「清潔」と「不潔」を比べること、その差異を認知すること、および、その差異を実在性によって確かめること、さらに、その実証性を「自分の体験」か「他者の体験」によって関係づけて行動すること、などが欠如しています。「言葉の意味を確定していない」ということです。

 「猫と犬の認知上の違いや差異」を認識することが欠如しています。

 「差異」とは、ものごとのもつ性質や働き方の違いのことです。一部分の特徴ではなくて、そのものごとの中身にかかわることの違いをさす概念です。

 そして、「猫と犬の差異」を単に言葉の上の説明だけで「分かる」というのではなくて、「猫」「犬」を実際に見るとか、記録や観察の記述で「差異の実体」を「認知」することが欠如しています。さらにここでの「認知」を、行動によって関係づけるとは、何のことでしょうか。例えば、「コーヒーカップ」と「どんぶり」の差異について考えてみます。

 それぞれ形状、大きさ、重量、容量などに明らかな「差異」があります。人はその「差異」を認知するでしょう。その「差異」と行動によって関係づけるとは、「自分の体験」としてコーヒーカップ、どんぶりのそれぞれを差異の内容の「用途」に従って使ってみることをいいます。もしくは、他者の同じような行動を見たり、聞いたりして、疑似体験として関係づけることをいいます。

 これは何をおこなっていることになるのか?というと「正当な行動が成り立つ」ということになります。「言葉」(言語)の次元でいうと、「猫」「犬」という動物の抽象概念が「猫」「犬」という「半抽象語」に還元され、さらに、行動の対象となる「具体的な名称」まで一義性をもって、即自的に還元される、と記述されます。

 「強迫観念」の恐怖症の人にはこのような「認知」と「認識」の還元の仕方と過程が欠落しています。

 「即自的」とは、「自分の思うとおりに行なうこと」という意味です。ものごとの「認知」はある、しかし還元過程の「認識」が欠落している、そして「即自的な行動や関わりだけがある」という病理です。

 少し抽象的に難しい説明をおこなっています。なぜ、こういうまわりくどい説明をしているのかといいますと、分裂病は、強迫観念を例にあげると、「ものごとを分かるための言葉の意味のイメージが表象も表現もなされない」という病理であるからです。

 それならば、「そのものごとの言葉とその意味を説明すれば解消するのか」という対策が考えられるでしょう。

 しかし、そうはならないということをご説明しています。

 このことを具体的にご説明して有効な対策を提示する、というのが今回の本ゼミのモチーフです。

 「強迫観念」の症状をつくる言葉から考えてみます。
 「怖い」という言葉です。

 『岩波古語辞典』には次のように説明されています。

?「こわい」…「こはし」(形容詞。ク活用)。表面が堅(かた)くて弾力性に乏しいこと。堅くてゴツゴツしていることだ。

?大野晋は『日本語の年輪』(新潮文庫)で次のように説明します。

?「こわい」は、「おこわごはん(赤飯)」という言い方に残っている。「こわい」とは固くてつっぱっているというのがもとの意味だった。
「娘は、年もいかずコハクてございまして」(『竹取物語』)
かぐや姫が、帝(みかど)の御使に会うのを嫌った時の育ての親の言い訳の言葉が「コハイ」(こわい)だ。
「舌がコハイので、母の乳を飲むことができない」(『太平記』)
「コハキ物怪(もののけ)」(頑固でなかなか退散しない物怪のこと)、「ココロゴハシ」(『源氏物語』…性格が頑固で依怙地(いこじ)だ)、というのが「こわい」(怖い)の語源になる。ここから、「人間は、恐ろしいものに出会うと身体中の筋肉が硬直する」という意味に変化した。「室町時代」に、現代の「こわい」(怖い)に変化した。

日本人はなぜ「こわい」と思うのかの起源

■現代では、「こわい」は、「怖い」か「恐い」の漢字を用います。

「恐い」は、びくびくしたり、おどかすことの意味です。

 おもに、人間の動作や行動にあらわれる「こわさ」のことです。

 「怖い」は、わけもなく怯えてこわがること、です。おもに、心理面の「こわさ」のことです。したがって、強迫観念の「こわさ」は、「怖い」という漢字の表現が適切です。

 このように見ると、日本語(和語)の「こわい」は、人間の身体と感情面にあらわれる「おそろしさ」のことだということが分かります。身体の筋肉が硬直して行動が止まるのが日本人にとっての「こわい」です。

 では、「汚い」(不潔)は、どういう意味を語源にもつのでしょうか。

 大野晋の前掲書によれば次のとおりです。

?「いまいましい」という言葉がある。「ゆゆしい」の「ゆ」に関係のある「忌む」(いむ)の「いむ」という言葉がある。
「忌み言葉」といえば、結婚式場などで使うのを避ける言葉のことだ。「別れる」とか「終わる」「壊れる」などが、当日は避ける言葉である。日本人は、「言葉」にも「霊がある」と思っていた。
だから、「万葉集」には、恋人の名前をうかうかと口に出しては言ってはいけないと考えた歌がある。

言に出(い)でて言はばゆゆしみ山川の
たぎつ心をせかへたるかも

(万葉集)

「あなたの名を口に出して言うと大変ですから、山川の水が岩に激しく当って流れるように心の中で激しく騒ぐ心を、じっと塞(せ)き止めてこらえています」(注・奈良時代の日本人は、恋人の名をうっかりと口に出して、それを他人とか、悪霊に聞かれると悪い呪(まじない)をかけられることがある。すると、その名前を持つ恋人に害悪が及ぶので、気をつけなければならないと信じていた。)

?「ゆゆしい」の「ゆゆし」は、ポリネシアで使われる「タブー」と同じ意味をもっている。「タブー」とは二つのことを指している。
一つは「神聖」なものだ。もう一つは、人々から隔離されて人間が触れてはいけないもの、とされたものだ。「けがらわしい」「汚い」と考えられたものだ。「汚れている、だから不吉(ふきつ)だ」、とするものだ。

?日本人の罪の観念はここから生まれた。欧米人のように一つの神がいて、良い悪いの基準を示して、悪に当るものを罰とする、というのではない。
日本人の罪(つみ)は、「天つ罪」(あまつつみ)と「国つ罪」(くにつつみ)との二つに分けられている。「天つ罪」とは、当時、食糧として最も大切であった「水稲耕作」を害する行為である。「国つ罪」とは、人間の生殖、健康に害の及ぶ行為があてられている。
日本人の「罪」についての考え方は特異的である。それは、自分の罪を認めて反省し、謝罪するというものではない。
「この世の罪という罪を集めて山の谷川から落ちてくる水に流すと、その川の瀬に座っている女性『瀬織つ姫』(せおりつひめ)という神が、その罪を大海原に運んでいく。すると、海流の集まる所に女性の神『速開つ姫』(はやあきつひめ)がいて、その罪をごくごくと呑む。すると、風を空に吹き出す口にいる『気吹き戸主の神』(いぶきどぬしのかみ)が強い風を吹く。吐き出された罪は、地下の国へ吹き落される。この地下の国には『速さすら姫』がいる。この女性の神がその罪を抱えてあっちこっちを彷徨(ほうこう)しているうちに、どこかになくしてしまう。これによって罪は消える。谷川の川の瀬にいる女性の神は喜ぶ。」
ここには、個人の犯した罪にたいする責任の観念がない。そして、「罪」と「穢れ」(けがれ)の区別もない。
日本人は、谷川で身体を洗い、水に流せば『瀬織つ姫』(せおりつひめ)が万事解決してくれると思っている。
だから、現代の日本人は罪に当る事実を明確にせず、「認知」はしても「認識」することはない。また、『瀬織つ姫』(水に流すこと)に依存して、的確に表現する精神の習慣もない。谷川の水の流れの『瀬織つ姫』に依存するという罪の認識の低さ、希薄さ、事実の確認の脆弱さにその起源がある。

日本人の宗教意識は「アニミズム」

?日本人のもつ宗教の意識は、仏教でもキリスト教のような一神教でもない。奈良時代と、それ以前の日本で強かったのは「アニミズムの観念」である。
「アニミスティックな観念」とも呼ばれる。
「アニミズム」とは、自然界のあらゆるものが「精霊をもつ」とする観念のことだ。その「精霊」の働きを崇拝する。
海、山、波、奥山、大きい木、巨大な岩、道路、つむじ風、雷に霊力があると思っている。そして恐れ、その前にかしこまる。
その神には何の実体も無い。
曖昧な存在だ。日本人にとっては神も曖昧なものだ。だから欧米人の「一つの神」という観念は分かりにくい。この「一つの神」という観念を受け容れたのは、明治以降の日本人の女性だ。これによって個人の倫理的な主体を自覚した。

ひとり寝て絶えにし紐(ひも)をゆゆしみと
せむ術(すべ)知らにねのみしぞ泣く

(万葉集)

(ひとり寝をしていた。自分の着物の紐(ひも)が切れた。これは大変だ、不吉だと驚く。どうしていいか分からないので、ただ声を立てて泣いています)
これが奈良時代の女性の「アニミズム」の観念である。「類感呪術(るいかんじゅじゅつ)」ともいわれている。恋人と自分は霊によってつながっている。毎日、今日はどうしているかなと、顔を思い浮べて会える日を楽しみに待っている。そのつながりを示すのが、寝ている時の着物の紐(ひも)だ。その紐(ひも)が切れた。「自分とあなたの間が切れるのではないか」と不吉(ふきつ)なことを連想して、どうしていいかわからずに、ただひとり声を出して泣いています、という意味だ。
この「類感呪術」のアニミズムの観念は「平安時代」になるとさらに、社会や人間関係の中に拡張する。

世に類(たぐひ)なくゆゆしき御ありさまなれば世に長くおはしますまじきにやと天(あめ)の下の騒ぎなり
(『源氏物語』)

(世間にも類(たぐい)もなく、たいへん美しい御様子なので、こういう方は、早死になさるのではないかと天下の人が大騒ぎした)
「非常な美しさの人は、霊が妬んだり関心をもったりしてそこに魔がさして早く死ぬのではないか、という恐れを人々に感じさせた」という意味だ。
現代の日本人が「縁起が悪い」「不吉(ふきつ)だ」というのは、古代日本人の言葉の意識が意味づけた「そこに何か悪い支配的な魔力が働いている。人間の力ではどうにもできない出来事が起こるかもしれない」という「認識」が語られていることになる。

?櫛(くし)も見じ屋中も掃かじ草枕(くさまくら)
旅行く君を斎(いわ)ふと思ひて

(万葉集)

ここで歌われている「斎ふ」(いわふ)は、現代の「祝う」の語源に当る。これは、「アニミズム」の「感染呪術(かんせんじゅじゅつ)」というものだ。
「髪をけずる櫛(くし)も見まい、家の中も掃くまい。草を枕に旅に出ていくあなたをお斎い(お祝い)すると思って。」
櫛、自分の髪の毛は、旅に出た恋人が触れたものだ。家の中もその恋人が住んでいたし、生活をしていた。その旅に出た恋人が旅に出ている間に、髪の毛を櫛けずり、家の中を掃いたりすれば様子が変わる。様子が変わるということは、つまり、旅先の恋人と自分との間に変化が生じることだ。これは二人の将来に重大な変化をもたらす。
それはゆゆしきことだ。避けなければならない。だから、恋人が触ったものをつつしみの心を以(も)って変えずにおく。
これが「斎ふ」(いわう)ということだ。
ここから「よろづ世を松にぞ君をいはいつる」というように「万年の命」という「めでたいこと」が起こるようにと、「松の木」にまじないをして求めた(平安時代)と、変化した。「前もってお祝いごと」をして、良いことを求める、ということを「神に求める」という変化の仕方だ。このようにして、今日の日本人の「祝う」という言葉がつくり出された。

日本人の強迫観念は「アニミズム」をベースにしている

■ここでは、日本人の言葉は「一定の法則性」にのっとってつくられ、行動の仕方が変わるにつれて、言葉そのものが変化しているということをごらんいただきました。すでに、国語学者・大野晋の日本語(和語・やまとことば)の解析をとおして、「日本語の文法は、内か外かに区別することを基本型とする」ということをお話しています。大野晋のこの学説が信用できる、できないということはどのようにして判断されるものか?と問うとき、日本人の「日本型の分裂病」の症状の事実がそれを裏付けます。

 初めにご紹介した分裂病の第一期の症状の「強迫観念」は、「ゆゆしい」「いまいましい」「祝う」などの現代の日本人が使っている日常の中の「行動」の次元の言葉を見てみると、その根源の意味は「アニミズム」(自然の中にたくさんの神がいる、神は一つではない。自然の中、生活の中のどこにもいて、超自然の霊力をもつものだという宗教意識)によって構成されていることが分かります。

 すると、「不潔恐怖症」とか「狭い所が怖い」(閉所恐怖症)というのは、ご紹介した「感染呪術」(かんせんじゅじゅつ)や「類感呪術」(るいかんじゅじゅつ)という「アニミズム」が直接、認識されているのではないにしても、類似した認識が加えられていることは事実です。

 それはどういうものでしょうか。

 「恐い」「怖い」という「こわさ」は、もしそれに触らないとか、近づかないとすれば「安心する」というイメージが表象されるでしょう。「何もしないことがいちばんいいことだ」という安心の仕方です。

 「参加する」とか「関わりをもつ」から「恐れ」とか「怖れ」の「こわさのイメージがつねに、夜も昼も、道路を歩いている時も表象しつづける」という観念があることは間違いありません。これが「アニミズム」ではないにしても、「アニミズムのものの考え方」と軌を一にしていることは確かです。「何かをするから怖い思いをする」「その何かをしなければ、怖い思いをしなくてもすむ」という不適応の「認識」が土台になっています。ここに「何もしないことがいちばん良いことだ」という美化の妄想のイメージが先に表象して、このイメージに、恣意的な言葉による認識の言葉がつけ加えられるのです。

日本の女性が「外」に追いやられたことがアニミズムのルーツである

 こういう「認識」はどのようにして生成されるのでしょうか。このことの原型となる起源にあたることについて、大野晋は次のように書いています。

君待つとわが恋ひをればわが屋戸の
すだれ動かし秋の風吹く

(万葉集)

 額田王が天智天皇が来るのを待って作った歌だ。
 わが君を待つとて、私が恋しく思っていると、わが宿のすだれを動かして、今来たよ、と秋の風が吹いてくる、という意味だ。

君に恋ひいたも術(すべ)なみ奈良山の小松が下に立ち嘆くかも
(「万葉集」笠女郎(かさのいらつめ))

 (あなたが恋しくても何をする術(すべ)もなくて困っている。そこで奈良の小松の下に立って大きくため息をつくしかないと思っています)

君が行く道の長手を繰りたたね
焼き亡ぼさむ天(あま)の火もがも

(「万葉集」茅上娘子・ちがみのおとめ)

帰りける人来たれりと言ひしかばほとほと死にき君かと思ひて
(「万葉集」茅上娘子・ちがみのおとめ)

 (あなたが流されていく長い道のりの長い行く手を繰り寄せて、たたんで、焼き亡ぼしてしまう大空の火がほしい)(流罪の恋人が許されて他の流人と一緒に帰京を許されると聞いた。しかし帰って来ないではないか。それなのに、帰って来る人々が到着したと人々が言ったので、私はもう死にそうでした、あなたかと思って)
 茅上娘子(ちがみのおとめ)は宮中の身分の低い女官(女嬬・にょじゅ)だった。
 宮の物を出し入れする「蔵人・くらびと」の仕事をしていた。「中臣宅守」(なかとみのかもり)は「うるはしとわが思ふ妹(いも)を思ひつつ、行けばかもとな行きあしかるらむ」という歌をつくって恋愛関係になり、こういう身分の差のある男女は恋愛してはいけないという禁断(タブー)を超えた。
 「うるわしいと私の思う妹(いも)を心に抱きながら流されていくためか、なにをすることもできないほどこの道の歩きにくいことよ」と歌った。

春過ぎて夏来(きた)るらし白妙(しろたえ)の
衣(ころも)乾(ほ)したり天の香具山

(「万葉集」持統女帝)

 (ああ、春がもう過ぎて夏が来たらしい。まっ白な衣が、青々としたあの天の香具山の木々の中に乾してある)

日本の女性が真の主体を回復させなければ日本型の分裂病は解消しない

■ここに見るのは「奈良時代の女性」の社会的な位置というものです。この頃は「妻問い婚」が主流だったので、女性は、男性にたいして主体的にふるまい、自分の行動の意味をよく認識して恋愛をしていました。内(うち)か外(そと)かの区別の中で女性が「内」(うち)に立っていました。外(そと)に存在したのは男性です。これは、タミル語と一緒に日本にやって来た「母系制社会」の女性の自立した姿でした。しかし、平安時代を経て、室町時代になるとこの女性の社会的な位置は「外(そと)」へと追いやられます。この奈良時代の女性らが作った「日本語のアニミズムの認識」が日本語の「ひらがな」に移り変わり、現在の日本語の文法を形成しました。それが助詞の「に」「へ」「が」「は」であったり、助動詞の「う」や「よう」「せる」「れる」であったり、形容詞や動詞の「活用形」のルールであるのです。

 外(そと)の位置に立つとはどういうことでしょうか。

@恐怖の対象である
A近づかない、放置すると見なされる
B成りゆきにまかせる、と遠くから見て、直接、手を下さない対象と見られる

 日本の女性は、社会環境の変化にしたがって形式的には男女平等の位置に立っています。しかし、分裂病の強迫観念が示すように、「内」(うち)と「外」(そと)のボーダーを超えた言葉の意味の認識力を回復していないということがいえるでしょう。

 これは、今、どう対策を立てればいいのでしょうか。
 「ハーバード流交渉術」に次のような質問の仕方の交渉事例があります。

エクササイズ

◎交渉事例

「もし、間違っていたら教えていただきたいのですが、我々のアパートには家賃の規制が適用されていると聞きました。それによると最高額は月々20ドルだそうです。間違っていますでしょうか」

@交渉事例では、客観的事実と原則をいつでも受けいれるようにしておくことだ。
A自分の情報は間違っているかもしれない。
Bこのこともふまえて、自分のもっている情報の事実を同意してもらうか、訂正してもらうかによって相手を交渉の話し合いの場に参加させようとしている。

◎ポルソナーレの会話の仕方のアドバイス

@日本型の分裂病は、事実を事実と「認識」することに歪み(バイアス)が生じるということを理解しましょう。

Aしたがって、「間違っていたら教えてほしい」と発言すると、「そうだ、間違っている」というバイアスの認識の言葉が次々と表象してくる可能性がある。
「そういう言い方は好みじゃない」「そうだ、あなたのカン違いだ」などと、「その場の会話」が不成立になる可能性がある。

Bそこで「相手」を「内の存在」と扱い、「こういう事実について、あなたはどういうお気持ちをお感じになりますか?」と触覚のレベルの一体感を求めることが「話し合い」を成立させる。

Cそこで、次に、相手の発言の言葉に共感して、内輪の関係の成立を確認しつつ、内か外かのフレームの中で「認知的不協和の法則」どおりに同意を求め、合意に至るというのが日本型の会話術になる。
「私はあなたのことをこれこれこのように心配している。この心配の気持ちを安心に変えるにはこういうことが有効と思うがどうだろう?」
といったパターンの「認知的不協和の法則」の運用である。

ゼミ・イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第235号 一部掲載

関連
日本語の文法の解体学・I 最強の知性のための「文法」と表現術


連載
前回:日本語の主観表現のメカニズムと対策 「ハーバード流交渉術」・III
次回:「年金激震!」・1 「言語にとって美とはなにか」

参考:脳の働き方の学習のご案内

「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
 受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
女性向けカウンセリング・ゼミ、男性の「女性」対応・ゼミ

ゼミ・イメージ切り替え法

プロ「教育者」向けカウンセリング・ゼミ

カウンセラー養成ゼミ

脳と心の解説

教育方針は「教える・育てる・導くカウンセリング」です 。
「女性」「子ども」のこんな心身のトラブルならあなたにもすぐ解消できます。

「女性向け」、「男性の“女性”対応」のカウンセリング・ゼミです。
女性は「相手が喜ぶ」という共感がないと、ものごとを正しく考えられません。

女性と心を分かち合える「脳」を、最高に発達させる!!が教育の狙いと目的です。女性を「見る」「見たい」、女性から「見られる」「見られたい」関係をつくる、カウンセリング術です。

女性の「脳を健康を働かせる」!安心と安らぎを分かち合う、が教育のテーマと目標です。「気持ちが安心する。だから、知的に考えられる」という女性の本質を支えつづけるカウンセリング術です。

女性の脳の働きが伸ばす「人格=パーソナリティ」を目ざましく発達させる!が教育の方針です。 女性が社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と、知的に関われる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


脳と行動の診断

人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 ゼミ・イメージ切り替法の詳細
 ゼミ・イメージ切り替法トップページ
 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
 カウンセラー養成ゼミ
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 カウンセラー養成ゼミ詳細
 カウンセラー養成ゼミトップページ
 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

メールマガジンの登録・解除はこちらから
まぐまぐ! メルマ!
メルマガ購読・解除
 
メルマガ登録・解除
読むだけで幸せになる手紙
 
 powered by メルマガスタンドmelma! トップページへ
バックナンバー(メルマガ・その他過去の連載)


クマ江
クマ江さん

《クマ江版・おそろし》
スクールカーストと
脳の働き方 百物語
第一話〜
バックナンバーはこちら
バックナンバーはこちら
うさ子
谷川うさ子さんの
お役立ちカウンセリング
 
バックナンバーはこちら
「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
ポルソナーレ代表
 田原ごあいさつ

 
 著作一覧
/ 略歴
時代の病理デウスドクター初期ノート ハンナ・アーレントの哲学入門 『人間の条件』 谷川うさ子
 「今日の一言」掲示板
谷川うさ子です
谷川うさ子 です。
 私がご案内いたします
ポルソナーレと全日本カウンセラー協会のご案内 哲学入門 サンプル
社会的なるものと私的なるもの
twitter @porsonale

トップページ

〒150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-14-3 サンライズビル3F 地図・アクセス
TEL 03-3496-6645 FAX 03-3464-5905 mail info@porsonale.co.jp

このサイトは、全日本カウンセラー協会ポルソナーレに著作権があり、無断での使用はお断りいたします。
Copyright c 2007 All Japan counselor association, PORSONALE. All rights reserved.