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ポルソナーレ式イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第229号
11期13回め平成21年8月8日
脳の働き方と言語の学習回路/浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
「裁判員裁判」制度
日本型の分裂病の対策とアドバイス・V

エクササイズ:「尊大」を防ぐ知性の学習モデル

はじめに

 ゼミ・イメージ切り替え法、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、39のゼミをお届けいたします。
 今回のゼミは、日本型の分裂病のパート・Xです。
 精神分裂病は、日本だけが世界の中で「統合失調症」と名称変更をしています。これは、現実の精神分裂病の病理の実体や原因、対策、改善のための社会教育を放棄して、無為に流すということを意味しています。このような思考パターンそのものが日本人の分裂病を増えるにまかせて、全肯定に通じています。
 その典型的な局面が新しく始まった「裁判員裁判」の制度です。
 今回は、この問題を中心にご一緒に考えます。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 日本の刑事事件は「裁判員」が裁判をおこなう制度になった
  2. 「専門用語が分かりやすくなった」裁判
  3. 「市民感覚」とは「分かりやすさ」のレベル
  4. 距離の無い「内輪」への取り込まれが「裁判」
  5. 「分かりやすくする」とは「クローズ・アップ」でイメージすること
  6. 脳の働き方のメカニズムが示す認知と認識の「文法」とは
  7. 日本語(和語)の「文法」の思想とメカニズム
  8. 省略されて不適合となる言葉はどういうものか
  9. 尊大語・尊大表現の起源
  10. 「瓜子姫」民話の中の「殺害事件」
  11. 日本人の分裂病は「尊大語・尊大表現」がつくる
  12. エクササイズ
脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
「裁判員裁判」制度
日本型の分裂病の対策とアドバイス・V
日本の刑事事件は「裁判員」が裁判をおこなう制度になった

 平成21年8月3日から、日本の「刑事事件」は、「裁判員」が「裁判をおこなう」という制度が始まりました。

 「東京地裁」で「第一号事件」の公判がおこなわれました。

 日本で始まった「裁判員裁判」という制度は、アメリカの「陪審員制度」によく似ています。しかしメカニズムや実体は全く違います。

 「アメリカの陪審員制度」は、一般市民から「8人」が選ばれます。弁護士と検察側が、それぞれ自分に有利になると思われる人物を残すために、「トランプのカード」を切り捨てるように排除して選択します。「陪審員は8人」です。

 日本の「裁判員」は「裁判所」が決めます。60人くらいを呼び出して、この中から「6人」を決めます。「補充員」を「2人」決めます。「6人」のうちの誰かが病気になるなどの不都合状態が発生した時の「補充員」です。今回の「第一号事件」では、1人の裁判員が身体不調を訴えたために、2日目で補充員と交代しました。

 「アメリカの陪審員制度」では、陪審員は「有罪か、無罪か」を決めます。

 「死刑か?10年か?終身刑か?」という「刑の量定」をおこなうのは「裁判長」です。

 日本の「裁判員」は、有罪か無罪か?ではなくて、「死刑か?15年か?20年か?」という「刑の量定」をおこないます。

 平成21年8月3日から始まった「第一号公判」は「4日間」で「刑の量定」がおこなわれます。「傍聴人」と「検察庁の人」「弁護人」「被害者の関係者」などがたくさん見つめる中で「被告人」に質問をして「量定」をおこなわなければなりません。「裁判員」の日当は「一万円」か「八千円」です。交通費や宿泊費も支払われます。

 「裁判員裁判」の「第一号事件」は「殺人事件」でした。

 平成21年5月1日、午前11時50分ごろ、東京都足立区で起きました。

 「72歳」の男性が、2メートルの幅の道路をはさんだ向かいの家の女性(整体師・60歳)をサバイバルナイフで5,6ヵ所を刺して、出血性ショックで死亡させた、というものです。

 何人かの目撃者もいて、被告も出頭しています。

 「私はやっていません。しかし逮捕されました」といったような「犯行否認」からスタートする事件とは異なります。

 争点は、「判決は、刑の重さをどう判断するか?」からスタートしました。この事件で検察側は「15年の懲役刑」を要求しました。被害者の遺族は「20年間」を求めてアピールしています。

 この「裁判員裁判」の最大の特徴は、「検察側」「弁護側」の「事件のとらえ方と説明の仕方」です。

「専門用語が分かりやすくなった」裁判

 初公判を傍聴した人の話はこうです。

 「『未必の故意』を『死んでしまうかもしれない』という言葉に置き換えていた。検察も弁護側も、難解な専門用語をかみくだいて、分かりやすく説明していた」(全国犯罪被害者の会の代表幹事・岡村勲弁護士)

 「医学用語を分かりやすい表現にしていた。理解しやすかったので自分も裁判に参加している気分になれた」(中央大学3年生・男性。21歳)。

 「検察官が、裁判員に気をつかいすぎているように感じた。図面を活用した立証も、事件を簡略化しすぎて、漫画のように思えた」(別の地裁の裁判員候補になっている40歳・男性。会社員)

 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話。

 「東京地裁で開かれている裁判員裁判のこれまでの経過を見ると、裁判所、検察、弁護側の法曹(ほうそう)三者は、公判日程をできるだけ短くしようとしている。市民から選ばれた裁判員の負担の軽減がその理由だ」。

 「だが、刑事事件が本来、目ざしているのは、事案の真相の解明と、公正な量刑の実現だ。被告を置き去りにした裁判の短縮、拙速な裁判という危険性がある」。

 「今のやり方は、調べる必要がある証拠の数量を減らしているだけ、に見える」。

 「刑法は、犯行時に心神喪失の場合は無罪、心神耗弱ならば刑を軽くすると定めている。このため重大事件では、被告の刑事責任の能力の有無が争われる。

 検察側と弁護側が正面から対立する。

 犯行時の精神状態を調べるために、精神科医などによる精神鑑定がおこなわれることが多い。公判では、裁判員に、鑑定医が鑑定の内容を説明する。

 だが、最高裁は、裁判員に分かりやすくするために鑑定書は薄くして、法廷でも、できるだけ専門用語は使わないようにしてもらう、と言っている」。

 神奈川県で「裁判員候補」になった男性(50歳・会社員)の話。

 「法廷刑は、上限が死刑、無期懲役になっている。自分の目の前にどういう刑事事件が来るのかは分からない。量刑の判断基準をどこに置けばいいか分からず、不安だ」。

 注・死刑の適用基準は、最高裁が示した。

 1983年の「永山則夫事件」だ。基準は9項目ある。この9項目の中に被害者の数がある。しかし、平成21年3月、名古屋地裁の「闇サイト事件」は被害者が「1人」だった。

 「被害者数は、判断基準の一つにしかすぎない」として被告のうち「2人」に「死刑」を宣告した。
 (以上は、平成21年8月4日、8月5日の日経によります)

「市民感覚」とは「分かりやすさ」のレベル

■平成21年8月3日から始まった日本の「裁判員裁判」制度は「日本の市民感覚を裁判に反映させる」という主旨になっています。制度そのものは「5月2日」に発足しました。

 今後、全国で年間「約2,000件」の刑事事件に「1万6千人以上の市民」が裁判をおこなうことが予測されています。

 対象となる起訴事件は、すでに「338件」になっています。内訳は次のとおりです。

1.罪名別(未遂も含む)は、
 強盗傷害……80件
 殺人……79件
 覚せい剤取締法違反……33件

2.都道府県別
 大阪……45件
 東京……40件
 千葉……39件、など。

 ここにうかがわれるのは、増えつづけている刑事事件、対応する司法制度の過重負担と裁判の膨張、そして、「精神分裂病」の症状の一つとしての「社会不適応」、といったことです。これらの「事件の量的な拡大」に「日本の市民」を動員して「負担の軽減を図る」という転嫁がうかがえます。ちょうど、「精神分裂病」を「統合失調症」と言い換えて、「精神医療」を「福祉」の問題に転嫁したことと同じ動機と目的です。

 日本の「裁判員裁判」の制度で問題となる核心は「専門用語」を分かりやすくする、という「言い換え」です。

 この「言い換え」が「市民感覚」に相当します。

 初めに紹介した日経に書かれていた事例でいうと、「未必の故意」を「死ぬかもしれない」と言い換えているところが典型例です。

 「未必の故意」(みひつのこい)とは、人間の「心理状態」をいいあらわす概念です。行為者が、事件になることを明確に意図して、積極的に目的をもって行動したのではないが、しかし、事件となる事態にはなるだろうと予測して、それならそれでかまわないと「考えた」、という行動の仕方のことだと定義されています。

 定義の仕方はこうです。

  1. 継続的に、暴力の志向にむす びつく「中隔核」のバッド・イ メージを表象していた。
  2. 他者の状況を、三次元の角度 から想定するという思考の仕方 が欠落していた。
  3. 自分と同じ「生」(なま)の 感情による「連想」にとらわれ た人物を、A、B、C、D、E、 F、G、H、I、Jの「10人」 を想定して、この「10人」の人 間は全て、「未必の故意」をと もなう「行動」をおこなうか? と考える「因果律」や「推移律」 の心の目が全く無かった。
距離の無い「内輪」への取り込まれが「裁判」

■ここにあるのは、「人間関係」とは「距離のないのが当り前だ」という前提意識です。「距離が無いということを前提にする」とは何のことでしょうか。「相手は自分の考えを全て分かっているはずだ」「自分は、相手のことは全て分かっている」という「感情の一体感」の目で現実を見ているということです。
具体的に説明するとこんなふうになります。

 瀬戸賢一は『メタファー思考』(講談社現代新書)の中で次のように書いています。

  • 「見る」という語義は、次の4つだ。
      一、目にとめて内容を知る
      二、判断する
      三、ものごとを調べ行う
      四、自ら経験する
      一の事例
       「野球を見る」
       「夕焼け空を見る」
      二の事例
       「手相を見る」
       「新聞を見る」
       「ニュースを見る」
      三の事例
       「勉強をみる」
       「様子をみる」
       「見守る」
      四の事例
       「ひどい目にあう」
       「ばかをみる」
       「楽しい目をみる」
「分かりやすくする」とは「クローズ・アップ」でイメージすること

■「未必の故意」を「殺すかもしれない」と言い換えるとは「見る」の事例にあてはめると、一、二、三、四のいずれのメタファーにも該当しない『見る』に収斂(しゅうれん)します。収斂(しゅうれん)とはものごとが小さく縮まって一つの地点に収まる、という意味です。

 それは、「凝視する」(じっと見詰めつづける)ということです。「クローズ・アップのイメージが思い浮ぶ」ということです。ここには「言葉」はなく、気配を感知する行為があるだけです。「客観的な状況」や「距離をとった位置からしか観察されない三次元の立体的な様子」は表象されません。

 日本の「裁判員裁判」の一人一人の「裁判員」は、「距離」というものが全く存在しない位置に立たされて「刑事事件」の被告の「行動」を思い浮べさせられます。

 ニュースで報道された「裁判員」の被告や被害者の家族への「質問」は、次のようなものです。

 「サバイバルナイフを取りに行った、ということですが、包丁で脅すとは考えなかったのですか?」(被告へ)。

 「被害者が倒れた時、大変なことをした!!と思って救急車を呼ぼうとはしなかったのですか?」(被告へ)

 「調書の内容は、どのように確認したのですか?自分で読んでサインしたのでは?」(被害者の長男へ。「被害者の女性は、気が強くて近所の人としょっちゅうトラブルを起こしていた」の調書を「そういうことはない。事件直後のことで、調書を読んだことも覚えていない」と訂正したことについての質問)。

考察のポイントの日本語(和語・やまとことば)
?「確認した」
?「サインした」
?「起こしていた」
?「読んだ」

 日本語の「た」(だ)のメカニズムについて大野晋(国語学者)は『日本語の教室』(岩波新書)の中でこう解説します。

  • 現代の日本語では「過去」をあらわすには『た』を使う。
    「雨が降った」
  • だが、この『た』は、
    「(探していたものが、)ああ、ここにあった、あった」
    とも使う。また、
    「ああ、驚いた」
    とも使う。
  • 「あった」「驚いた」の『た』は、「確認」とも見られるが、「気づき」とも見られる。つまり「現在も驚いている。驚きの感情が持続していること」を示している。
  • 『た』は「過去」にも「現在の確認にも、気づきにも、持続」にも使う。
  • 「ああ、驚いた」の『た』は、「過去のこと」ではなく「現在のこと」を表現している。
  • 日本語(日本人)は、欧米人の文法の「時制」のシステムのように「時制」を客観的にはとらえていない。
    日本人は「過去・現在・未来」という「時の変化」を明確に区別しない。話し手による漠然とした予想、および推測のことで「主観的」にとらえている。
脳の働き方のメカニズムが示す認知と認識の「文法」とは

■この大野晋の説明は、脳の働き方のメカニズムに置き変えなければ何のことかよく分からない内容です。

 『た』は、「主観である」「過去のことにも、今の現在のことにも使う」「気づきにも、感情の持続にも使う」とは「脳の言語野のブローカー言語野・3分の1のゾーン・X経路」の視覚と触覚の「知覚」による認知と認識を描写しています。

 「ブローカー言語野・3分の1のゾーン・X経路」は、脳の側頭葉に位置して、分布していることは、よくご存知のとおりです。この側頭葉は「ウェルニッケ言語野」という触覚だけを認知して、そして認識する「言語野」が分布しています。

 注・「認知」というときは「右脳」のアナログ脳の働きのことを指しています。
 また、「認識」というときは「左脳」のデジタル脳の働きのことを指しています。

 「X経路」という視覚の知覚神経の「メタ言語」を記憶するメカニズムは、次のとおりです。

  • 反応の速度は遅い(Y経路と比較した場合)。
  • ものごとに焦点を合わせる。
  • こまかいいりくみや形象、色彩、凹凸(おうとつ)を識別する。
  • Y経路がとらえた「パターン認知」を「記憶」として確定する。
  • 「ブローカー言語野・3分の2のゾーン」で「X経路」が働くときは、「左脳」に「記号性」を記憶する。
  • 「ブローカー言語野・3分の2のゾーン」で「X経路」が働くときは、大脳辺縁系の感情、欲求の記憶の中枢神経「扁桃核」か「中隔核」が、「好き」「嫌い」「敵」「味方」(扁桃核)、「快感」「恐怖」(中隔核)という価値づけを記憶する。

■『赤ん坊から見た世界』(無藤隆。講談社現代新書)をテクストにして「新生児」「乳児」「乳・幼児」の「五官覚」による「メタ言語」の発達のメカニズムを見ると、人間は、「Y経路」の認知と認識の対象を、「行動して近づいていく対象」としています。

 「新生児」「乳児」の段階では、「二・五次元」(ゲシュタルトの認知の法則)に見られるように、「Y経路」の対象(おもに母親の顔、母親の目、母親の声)を、行動以前のレディネスとして認知し、そして認識しています。

 ここから、「X経路」と「Y経路」の「認知」が、どのように「認識」されるのか?を「文法」として「定義」(名詞句として概念化すること)すると、次のとおりになります。

ブローカー言語野・3分の1のゾーン「X経路」の認識の仕方(文法)

  1. 「結果」を表現する
    「どうなる」(「花が咲く」「花が咲いた」「花は咲くだろう」「花を咲かせる」など)。
  2. 「選択」「判断」を表現する
    「なぜならば、こうだ」(「姉は妹より大きい」「妹は、姉よりも小さい」「小さな体に大きな望み」、など)。
  3. 「現在位置」を表現する
    「いつ、どこで、誰が、何を、どうした…の事実と事実関係」
    (「平成21年8月3日。日本で初めて裁判員による市民の死刑を含む刑罰裁判制度がスタートした」)
  4. 「主体」「対象」を表現する。
    「誰が・何が」

    (「日本市民の日本市民による日本市民を『殺害』する「裁判員裁判」の制度」)。
  5. 「基準」「ルール」「秩序」を表現する
    「定義は何か?」「3人以上が合意する行動秩序というルールは何か」を表現する。

    (「目にとめて内容を知るとは、関わる対象のあらましを分かっていて、事実としての展開を確かめることだ」)。
日本語(和語)の「文法」の思想とメカニズム

■この「X経路」の認知する「認識」の内容の1,2,3,4,5が、日本語(和語・やまとことば)では「内(うち)」と認知され、そして認識されているのです。

 前回の本ゼミでもご紹介した言語社会学者・鈴木孝夫の説明をくりかえして「日本語(和語・やまとことば)」の認知と認識のメカニズムを再度、確かめます。

  • 日本語の人称代名詞の目まぐるしい変遷とパタンをくわしく論じたのは佐久間鼎(かなえ)だ。
  • 話し手が、自分を指す代名詞はどれも、初めは、自分を卑下する意味の言葉だった。(「僕」は「しもべ」という意味)。
  • だが、くりかえして使われると、「自分が相手に対して、尊大にかまえる意味」をあらわすようになる。
  • くりかえしての使用は、やがて、「相手を上から下へと見下す時にだけ使う」というように正反対に変化する。
    (「貴様」「御前がお前に」)。

 鈴木孝夫ののべているところは、「脳の働き方の言語の生成のメカニズム」から見た「X経路の認知と認識の文法定義」を「無為」に化すのが日本語(和語)だ、ということになります。「無為」とは、「手を加えない」「感情の自然のままにくだくだ、ぐうたらぐうたらと成り行きのままにする」という意味です。
  国語学者・大野晋は、日本語(和語・やまとことば)の無為性についてこうのべます。

  • 「何食べる?」「私はうなぎ」。
  • 「あの本、どうした?」「読んじゃった」。
  • トイレで。「コンコン」(ノック)。
    「入ってます」。
  • 日本語は、「相手の知らない何か」を伝えることが中心的な問題だ。それ以外の部分の「相手は分かっているはずだ」と思っている言葉は、極めてしばしば省略される。
    日本人は、欧米語でいう「主語」を、「不要なもの」として省略する。(注・事実、事実関係も不要のものとして省略する。相手に伝えたいものは、自分の好き、嫌いの生(なま)の感情だけになる。これは、相手はまだ「知らないことだから」という判断が理由だ)。
  • 日本の社会は、弥生時代以来、農村社会が中心だった。
    明治の初めは、人口の8割が農民だった。村をつくり、村という輪の中で、あの人はどういう人だ、ということを知り尽して会話していた。「知らない人」は「ヨソ者」としてよほどのことがないかぎり「輪の中」に入れない。
    「輪の中」の黙契に違反した者は追放し、排斥する。
  • コミュニケーションのあり方は、くりかえされる生活、農作業、共同のインフラの維持が前提になっていた。言葉で、事実と事実関係を正確に伝えるという評価、価値観は無かった。だから「不要のもの」として省略されたのである。
省略されて不適合となる言葉はどういうものか

■「省略」された「事実」「事実関係」とは、脳の働き方の言語の生成の「メタ言語」のメカニズムに置き換えると、「Y経路の認知と認識」の内容です。

ブローカー言語野・3分の2のゾーン 「Y経路」の認識の仕方(文法)

  1. 「因果」を表現する
    「どのような」「どうなるか」(原因と結果)

    (「日本人は外(そと)のものを内(うち)に取り込んで親愛なものに変える」)。
  2. 「条件」を表現する
    (「日本人は、外(そと)のものは、恐いので、内(うち)に取り込んで見下す」)。
  3. 「前提」を表現する
    「何が?」「どういう背景が?」
    「どういう事実関係が?」

    (「日本人は、『愛着』のシステムの『ストレンジシチュエーション』には、母親はもちろん、父親の『同期』と『同調』が欠落しているので、二・五次元と三次元のカテゴリーの言葉を長期記憶していない」)。
  4. 「比較」を表現する
    「具体的な事実とはどのようなものか?」
    (「日本人は、漢字・漢語の『意味』を恣意的に自己解釈する人が多いので、自分の思考した言葉を、A、B、C、D、E、F、G、H、I、Jという「10人」の人間の立場に置き換えることができない」)。
  5. 「経過」を表現する
    「どうなる」「どうなった」「どういう軌跡をたどった」
    (「日本人は、仕事にしろ学校の勉強にせよ、言葉を記号として暗記するので、知っているか、知らないかの量をバケツで量(はか)った目方(めかた)のように優劣の間尺(ましゃく)にする」)。
尊大語・尊大表現の起源

■このような「Y経路」の「認知」と「認識」が省略されるということが「客観性の喪失」です。

 なぜ、「客観性の喪失」を自明のものとする「日本語・和語(やまとことば)」が生成されたのでしょうか。

 国語学者・大野晋は『日本語はいかにして成立したか』(中公新書)の中で次のように解析します。

@日本列島では、三世紀、四世紀より前になると「文字」を解した者は数えるほどしかいなかった。この頃になって漢字・漢文が輸入されたからだ。縄文時代には、文字という交信手段が無かった。

A「神代文字というものがあった」と主張する人がいる。だがその「神代文字」なるものは、朝鮮のハングル文字にそっくりそのまま一致する。「ハングル」は「一四四六年」に、「パスパ文字」を参考にして制定されている。

B文字のない生活と社会で、社会の規律を保ち、社会生活の基本的な知識を与え、「世界の見方」を人々に教えたのは「祭儀」と「神話」である。

C言語には二つの面がある。発音、単語、文法(形式の面)と「形式に則して表現される事柄、内容」である。

D「神話」の原型では食物の起源が語られている。食物を入手することは、人間の生存の基本条件だからだ。

E日本の「神話」は多重構造だ。初めは「トコロイモ」(山イモの一種)、次に「ソバ・アワ・キビ」、そして「水稲」が語られるという変遷の仕方になっている。「トコロイモ」の「神話」は今は「民話」に格下げされている。「稲」にかんする「神話」をつくった文明は、金属、機械(はたおり)をともなっていたから「漢字・漢文」とともに国家起源の「神話」になった。

「瓜子姫」民話の中の「殺害事件」

F日本の最古の神話のモデルは『瓜子姫』の話だ。

九州、四国、山陽、山陰、中部、北陸、関東、東北に流布している。
室町時代の「奈良絵本」にも書かれている。
ストーリーのあらましは、次のとおりだ。

  • むかし、じじとばばがいた。
    じじは山へ柴刈りにいく。ばばは川へ洗濯に行った。
  • ばばは、川上から流れてくる大きな瓜を拾った。
    その夜。その瓜は、二つに割れて女の子が生まれた。
    「瓜子姫」と名づけられた。
  • 「瓜子姫」は、トコロイモをよく食べた。トコロイモで大きく育った。
    ある日。じじとばばは言った。「今から山へトコロイモ掘りに行ってくる。だが、この頃は、天邪鬼(あまのじゃく)がひんぴんと出没している。この家にも来るかもしれない。恐ろしい魔物だ。家に入れると、お前を食べる。錠をかけるから戸を開けるなよ」。
  • 天邪鬼はやってきた。
    「わくわくしておいしいことをして遊ぼう」と話しかける。瓜子姫は、戸を開けた。
  • 天邪鬼は、瓜子姫の身体をバラバラにして、一つずつ食べた。
  • 夜。じじとばばは帰ってきた。
    天邪鬼は瓜子姫に化けている。じじとばばが採ってきたトコロイモをモリモリと食べた。その日からこの家に居ついた。
  • ある日。村の長者が「瓜子姫を嫁に欲しい」と言って来た。瓜子姫は、嫁に行くことになった。カゴに乗せられて嫁入りに向かう。
  • そこへカラスが飛んで来た。「カゴに乗っているのは天邪鬼だ」とさわぐ。村の衆が気づく。天邪鬼は、叩き殺された。死がいは、ソバの実の畑に埋められた。以来、ソバの根は赤くなった。

■この「瓜子姫」の説話のパターンは、「家の中で殺害が起こる」というものです。ポリネシアの世界に類似の神話が広がっていると大野晋はのべています。日本の場合は「神話」から「民話」に転落して、「一度」だけではなく「二度」の「殺害」になっています。

  • 遠くのもの……「トコロイモ」「天邪鬼」
  • 一度目の殺害……「家の中への取り込みの成立」(行動の完結)(食物の再生に象徴された「敬語」と「謙譲語」の原型)
  • 二度目の殺害……「恐ろしいもの」を取り込み、「見下す」(尊大語の原型)

 ここでは、「遠い」「近い」のパターンと、「外(そと)」と「内(うち)」のパターンが説話として語られています。「一度目の殺害」は「トコロイモ」を象徴とした「食物の採り入れと、食物の再生」(敬語・謙譲語の原型)のエピソードです。

 日本の民話に限っては「二度目の殺害」が語られていると、大野晋は、世界の「神話」を調べた結果をのべます。これは「恐いもの」を家の内(うち)に取り込んで「上の高見から見下す」という「尊大語」のエピソードになっています。日本人は、「自分」の「内」(うち)にあるものは「上から見下してもよい」(殺害してもよい)という距離意識のあり方を文法形式につくった、という起源になります。

 「内」(うち)とは、「会社」にあっては「擬似血縁意識」にもとづく「人事権」(支配権)になりました。

 そして、「裁判員裁判」制では、「死刑」から刑事事件で定められている量刑を決めるという、「瓜子姫」の説話の「二度目の殺害」という「尊大語の行動」がおこなわれています。

日本人の分裂病は「尊大語・尊大表現」がつくる

 平成21年8月6日。

 「裁判員裁判」で6人の裁判員は評議して、72歳の男性に「懲役15年」の判決を言い渡しました。

 「38歳から61歳の男性と女性」(会社員、ピアノ教師、アルバイト)というのが今回の一般市民の構成です。

 「逃げる人を追いかけて、何回も刺したでしょう」、が判決の理由です。

 日本人は、「尊大語」が自分を自殺させ、社会不適応をつくり、そして他者を殺害する「分裂病」の契機になります。

 そこで「尊大語、もしくは尊大表現とは?」の区別の理解が必要です。

エクササイズ

◎「尊大語、もしくは尊大の表現」はどれでしょうか?

事例1
(部員が部長に)「課長は、お休みになっています」

事例2
(会社に電話)「今日は、お休みさせてください」

事例3
(現場で)「何々と、このように僕は思います」

事例4
(会社で、上司に。書類を出して)「お分りになりますか?」

事例5
(案内文などに書く)「当日は、筆記用具をご持参ください」

◎「尊大語、尊大表現」であるか、どうか?の判定

事例1…尊大表現。部長へは敬意がなく、課長へは謙譲語になっている。「休んでいます」が正しい。

事例2…尊大表現。自分の行為に「お」をつけている。

事例3…公の場では「わたし」「わたくし」と言う。「僕」は仲間「内」の「一人称」。また「思う」を「考える」と言う。

事例4…尊大表現。日本では「目上の人」に「できる」「やれる」「分かる」という可能をあらわす言葉は「見下し表現」になる。「よろしいでしょうか」「いかがでしょうか」と言う。

事例5…尊大語。「持参」は本来は謙譲語。「お持ちください」が正しい。

ゼミ・イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第229号 一部掲載

関連
分裂病の解体学・V 「日本語はいかにして成立したか」


連載
前回:日本型の分裂病の対策とアドバイス・IV 子どもの危機・この国で産み育てるリスク
次回:分裂病と無縁の日本語の表現術 「後藤式文章の技術」

参考:脳の働き方の学習のご案内

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脳と心の解説

教育方針は「教える・育てる・導くカウンセリング」です 。
「女性」「子ども」のこんな心身のトラブルならあなたにもすぐ解消できます。

「女性向け」、「男性の“女性”対応」のカウンセリング・ゼミです。
女性は「相手が喜ぶ」という共感がないと、ものごとを正しく考えられません。

女性と心を分かち合える「脳」を、最高に発達させる!!が教育の狙いと目的です。女性を「見る」「見たい」、女性から「見られる」「見られたい」関係をつくる、カウンセリング術です。

女性の「脳を健康を働かせる」!安心と安らぎを分かち合う、が教育のテーマと目標です。「気持ちが安心する。だから、知的に考えられる」という女性の本質を支えつづけるカウンセリング術です。

女性の脳の働きが伸ばす「人格=パーソナリティ」を目ざましく発達させる!が教育の方針です。 女性が社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と、知的に関われる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


脳と行動の診断

人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 ゼミ・イメージ切り替法の詳細
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
 カウンセラー養成ゼミ
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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脳の働き方 百物語
第一話〜
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「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
ポルソナーレ代表
 田原ごあいさつ

 
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時代の病理デウスドクター初期ノート ハンナ・アーレントの哲学入門 『人間の条件』 谷川うさ子
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