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カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第233号
11期22回め平成21年12月26日

ハーバード流交渉術・脳の働き方と言語の学習回路
浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
文法の生成・I
日本語の文法の解体学・IV
『言語にとって美とはなにか』3 (吉本隆明)
「負けない行動」の表現力 (桜井章一)

はじめに

 カウンセラー養成ゼミ、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー・認定コース、48のゼミをお届けします。
 今回の本ゼミより「文法の生成」もテーマに加えます。
 世界の潮流は、ノーム・チョムスキーの「生成文法」説を支持していて、日本の学者にも多大な影響を与えています。しかし、ポルソナーレの見るところ、チョムスキーの「生成文法」は、悪しき形而上学というもので、プラグマティズムの限界を如実にあらわしているものです。これは、人間の認識というものを学的に取り扱うことをしてこなかった冗談のような学説になっています。本ゼミは、新しいパラダイム・シフトの先端を疾走しつづけます。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 人間の「観念」というものの正しい分かり方
  2. 兵法の道、大工にたとえる事 
  3. 柘植久慶の解説
  4. 宮本武蔵のプロフィール
  5. 柘植久慶(ひさよし)の説明の要
  6. 人間の「観念」の理解のためのガイダンス
  7. 『言語にとって美とはなにか』をテクストにする
  8. 自己表出性」とは何か?
  9. 人間の「観念」は「自己を対象化」の像をつくる
  10. もうひとつの「自己対象化」の像の事例
    『負けない技術』 (桜井章一)
  11. 楽しくリスクを取りに行くために
  12. 次回のゼミの予告をかねた今回のまとめ

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム 文法の生成・I
日本語の文法の解体学・IV
『言語にとって美とは何か』3 (吉本隆明・勁草書房よりリライト・再構成)

人間の「観念」というものの正しい分かり方

 人間には、生理的身体と観念とがある、ということについて、これまで、新生児、乳児、乳・幼児の認知と認識の仕方の実験や観察をとおしてお話してきました。

 この「観念」というものは、人間の生理的身体が実在するように、やはり実在性の次元で存在する、ということが重要です。

 まず、その重要さについてご一緒に考えてみます。

 どなたもよくご存知のとおり、江戸時代に「宮本武蔵・みやもとむさし」という人がいました。テレビや映画、小説でもドラマ化されているのでよく知られている人です。

 その宮本武蔵が、晩年に『五輪書』(ごりんのしょ)を書いています。

 柘植久慶(つげひさよし)が解説を書いている『実践・五輪書』(中央公論社)から、「観念」というものの実在性をよくあらわしているところをご紹介します。

兵法の道、大工にたとえる事

@ 大将は大工の統領として、天下のかね(注・定規のこと)をわきまへ、其国のかねを糺し、其家のかねを知る事、統領の道也。

A 大工の統領は堂塔、伽藍のすみがねを覚え、宮殿桜閣のさしずを知り、人をつかひ、家々を取り立つる事、大工の統領も武家の統領も同じ事也。

B 家を立つるに木くばりをする事、直にして節もしなく、見つきのよきを表の柱とし、少し節ありとも、直につよきをうらの柱とし、たとひ少しよくはとも節なく木のみざまよきをば、敷居鴨居障子と、それぞれにつかひ、節ありとも、ゆがみたりとも、つよき木をば、其家のつよみ、つよみを見わけて、よく吟味してつかふにおゐては、其家久しくくづれがたし。

C 又、材木のうちにしても、ふしおほく、ゆがみよわきをば、あししろともなく、後には薪ともなすべき也。

D 統領におゐて大工をつかふ事、其上中下を知り、或はとこまはり、或は戸障子、或は敷居鴨居、天井巳下、それぞれにつかひて、あしきにはねだをはらせ、猶悪しきにはくさびをけずらせ、人をみわけてつかへば、其はか行きて、手際よきもの也。

E 果敢の行き、手ぎわよきといふ所、物毎をゆるさざる事、太いゆう知る事、気の上中下を知る事、いさみを付くるといふ事、むたいを知るといふ事、かようの事ども、統領の心持に有る事也。兵法の利かくのごとし。

柘植久慶の解説

?大将は、大工の統領のように、天下の寸法(ものさし)をわきまえ、国の寸法を正しくし、家の寸法を知ることが統領として肝心である。

?大工の統領は、堂塔伽藍(どうとうがらん)の規格を認識し、宮殿や天守閣の設計を知り、人々をつかって家々を建設するが、これは大工の統領も、武家の統領も同じことだ。

?家を建てるには木くばりといって、真直ぐで節もなく見かけのよい材木は表に出る柱とする。

?少し節があって真直ぐで強い木は、裏の柱とする。少しくらい弱くとも節がなく美しい木は敷居、鴨居、戸障子に使う。節があろうが歪みがあろうが、強い木なら要所要所に見分け、よく吟味して使用すれば家は長持ちするであろう。

?また、材木のなかで節が多い上に歪んで弱いのは足場として用いたり、あとで薪とするのがよかろう。
統領が大工に使うときは、その人物の技術の程度を知り、その上で床廻、あるいは戸や障子、はたまた敷居や鴨居、それに天井といった具合にそれぞれの能力に応じた仕事をさせる。木を選んで用いる仕方と同じである。

?大工の中には腕前が劣る者もいる。その人物には床下の根太を張らせる。
より劣る者にはくさびを削るような雑用をさせる。
よく人を見分けて使うならば作業は進捗し、手際よくゆくものである。

?作業がよく進み、手際がよいこと、すべてに細心の気配りをすること、ここ一番の使いどころを知ること、大工たちに勢いをつけること、一人一人の限界を知るということなどは、統領が心得ていなければならぬところだ。兵法の理論もまたこれに類したものである。
(注・「兵法」(へいほう・ひょうほう。戦(いくさ)の仕方、軍学のこと。兵を用いたり、戦術の立て方についてのべた学のこと。)

宮本武蔵のプロフィール

■宮本武蔵について日本経済新聞の編集委員・小島英煕は、「歴史紀行」欄(平成10年7月31日)に次のように書いています。

1.寛永17年(1640年)に宮本武蔵は、熊本藩主の細川忠利を頼った。
57歳か59歳の時だった。
熊本藩の筆頭家老「長岡興長」あてに書いた手紙が残されている。
「その後、江戸、上方にいましたが、今、熊本に来ています。よろしければ伺いたい。」
これが、熊本藩の客分になった直接のきっかけになった。

2.宮本武蔵は、「七人扶持(ぶち)、合力米18石」で処遇された。細川忠利の没後は、「三百石」(堪忍分之合力米と表現されている)で処遇された。
熊本城の千葉城址(し)に屋敷を与えられて、家老並みに「タカ狩り」の特権もあった。
今は、熊本西社会保険事務所ビルのある敷地が「屋敷の跡」だ。
隣の「NHK熊本放送局の玄関前」に「武蔵が使用した」と伝わる「井戸」がある。

3.寛永18年2月、宮本武蔵は細川忠利に『兵法三十五箇条』を書いた。
細川忠利は56歳で没した。
跡を継いだ「細川光尚」も宮本武蔵を大事にした。

4.寛永20年10月。宮本武蔵は、熊本城下から13キロ離れた「金峰山の山ろく」の「霊厳洞」で『五輪書』を書き始める。
ここは、「霊厳禅寺」の奥の院、「岩戸観音」の安置された「洞くつ」である。
熊本藩の重臣「沢村大学」から教えられて、時々訪れて座禅を組んでいた所だという。

5.現在は「洞くつ」の前が舗装されている。階段を登って入ってみると、案外、浅い。
外を見れば、杉などの樹木が視界をふさぐ。
宮本武蔵はここで「天を拝し、観音を礼し、仏前に向かって」、畢生(ひっせい・生を終えるまでの間。終生という意味)の名著『五輪書』に挑んだ。

6.一年後、執筆を続ける宮本武蔵は病(やまい)に倒れる。「細川光尚」の命で、養生のために熊本城下に戻った。
正保2年(1645年)の春、病気は重くなる。
同年5月に、宮本武蔵は『五輪書』を弟子の「寺尾孫之丞(てらおまごのじょう)」に譲る。『兵法三十五箇条』と『五方之太刀道』を、寺尾孫之丞の弟の「求馬助信行」に譲った。
正保2年5月19日に宮本武蔵は没した。

7.宮本武蔵の兵法は、その後どうなったか。
「孫之丞系」は福岡藩に伝わったが、その後、絶えた。
「信行の系統」は、指南役になった「信行」によって熊本に残った。
今は、「野田派」が熊本にある。
「山東系」は、大分県宇佐市にある。そして「第十代宗家」の「今井正之」(82歳)のもとで健在である。
今井宗家の話。
「宮本武蔵の生誕地は日本であればそれで結構。流祖と出会うには、とにかく『五輪書』を読むことです」

柘植久慶(ひさよし)の説明の要

?トップに立つ者は、あらゆることの配置に気を遣わなくてはいけない。
そこで、トップとなる人間のリーダーがもつべき「兵法」の道を「大工の棟梁(とうりょう)」にたとえてみる。

?大工の文字は「大きく工(たくむ)」と書く。大きく工夫することだ。「兵法」の道も「大きく工夫すること」だ。

?大工の棟梁(とうりょう)と同じように「天下のかね」(曲尺・かねじゃく。ひらがなの「し」形の定規のこと)をよくわきまえて「国のかね」を正すことだ。
自分の家の「かね」をよく知ることが棟梁(とうりょう)の仕事だ。
大切なことは、「天下のかね」、「国のかね」を分かることは「家のかね」を分かることと同じことであるということなのだ。

?トップに立つ者は、自分のいる世界の流れと変化をつねに熟知する。自分のベストの判断基準を構築することだ。これが「かね」というものだ。それがトップに立つ者の判断の基準になる。その分かりやすい例が「大工の棟梁」なのだ。

?大工の「棟梁」(とうりょう)の仕事の中には、リーダーとして学ぶべき参考になることがたくさんある。
大工の棟梁(とうりょう)が家を建てる時は木を使う。
その木は、まっすぐで丈夫な、しかもきれいな木材ばかりを使って家を建てているのではない。いろいろな素材を巧みに配置している。少し節があってもまっすぐで強い木は裏を支える柱に使う。多少弱くて筋がなく、節もなくきれいな木材は、敷居、鴨居、戸、障子に使う。
曲がっていて節が多くても強い木は家の強度を増すために使う。曲がり、節が多い、弱い木でも使い道がある。これが大工の「木配り」(気配り)だ。よく吟味して素材を使えば家は長持ちする。

?ここで分かることは、人の上に立つ人物は、人間の適正と能力を最大限に活かせるように心がけるということだ。

  1. 仕事の能率がよく、手際がいいこと。
  2. 何事も気を緩めずにいつでも油断のないこと。
  3. 大切な要点は人まかせにせず、自分でまとめること。
  4. 部下の気力の上・中・下の度合いを見極めること。
  5. 覇気をもつこと。
  6. 無理を承知すること。
人間の「観念」の理解のためのガイダンス

■ここでは、宮本武蔵の『五輪書』の総論に当るところをご紹介しました。

 このご紹介の説明では、「人間の観念」とはどういうもののことをいうのか?を見ることができます。ふつう、『五輪書』のような文章を読むとき、スキルであるとか、技術であるとか、合理的な精神といった知識に注目しがちです。そういう読み方は正しいものですが、読み方の一つの動機であるといえるものです。

 重要なことは、「人間の観念」の中に何を、どういうものを思い浮べるのか?にあります。

 前回の本ゼミでもご紹介した『言語にとって美とはなにか』(吉本隆明・勁草書房・第一巻)の中の「人間の観念」にあたるところの要旨をもういちどご一緒に確かめてみます。

『言語にとって美とはなにか』をテクストにする

@ 原始人は、労働の中で身体の器官や生理的な機能を発達させてきた。

A この身体の器官や生理的な機能とは、五官覚と、これにともなう行動能力のことである。動物一般も人間も、「頭に思い浮ぶイメージ」のとおりに身体を動かすという「行動」をあらわす。
人間と動物一般を分けるのは、五官覚による知覚の記憶を「長期記憶」にするか、「短期記憶」にとどめるか、の差異である。

B 人間は、あるところまで意識がつよい構造をもつようになった、ということが想定される。この「あるところまでつよい構造をもつに至った意識」というのは、「大脳新皮質」の発達のことだ。
元・信州大学教授・脳科学者「大木幸介」は、この「大脳新皮質」が人間に出現したことを、次のように推測する。

?移動しないものには脳が無い。生きていくために身体を動かして食べ物を摂取する動物だけが脳をもつ。
「脊椎動物」の脳が発達していることからも分かるように脳は「運動」と密接につながっている。

?運動には筋肉が欠かせない。その筋肉を自在に動かすには「神経」という電線が欠かせない。脳は、この神経で出来ている。

?タコ、イカのような軟体動物、アリ、トンボのような節足動物には発達した神経が体内のあちこちに数万と集まっている。
集まった神経を「神経節」(ガングリオン)という。
これが「小型の脳」だ。

?この分散した脳が頭部に集中してくる。数億の神経が集まって複雑な運動や行動をコントロールするようになる。

?「初めに脳ありき」ではないのだ。筋肉を正確に動かすための神経が、初めに生まれた。その神経が一極に集まって「脳」が生まれた。
「脳」は、もともと神経の集まりとでもいうべき器官にすぎない。

?人間の場合は、神経の集まりが異常なまでに突出して進化し、巨大化した。
運動や行動のコントロールという役割を超越して、「心」や「精神」をつくり出した。こうなると、脳はもはや末梢神経ではない。人間に限らず、全ての脊椎動物にとっては、脳は中心器官なので「中枢」といわれる。

?ヒトの祖先はおよそ350万年前の猿人(サルと原人の中間)にまでさかのぼれる。だがあくまで祖先であって「ヒト」ではない。
その後に登場する原人(ピテカントロプスや、シナントロプス)、旧人(ネアンデルタール人)になってもまだ「ヒト」(つまりホモサピエンス)ではない。
ヒトの祖先が「ヒト」になったのは「クロマニヨン」からであっておよそ「3万年前」のことだ。

?では、クロマニヨン人とそれまでの原人や旧人を隔てるものはなにか?いろいろな説がある。その説の数だけ説明が可能だが、「脳」で見るかぎりはっきりしていることがある。それは「前頭葉」の発達だ。

?原人や旧人に比べてクロマニヨン人の額は垂直にそそり立っている。
これは現代人とほとんど変わらない。
額に包まれた部分には「前頭葉」がある。「前頭葉」は「言語脳」だ。
クロマニヨン人が洞窟(どうくつ)に残した絵画やサインからも分かるように、彼らはすでに抽象的な言語を使っていたのだ。

?それにしても、脳の進化から見れば、クロマニヨン人の出現はあまりにも突然だった。
それ以前の旧人に比べて爆発的な進化としかいいようがない。それを脳の奇形化に例える学者もいれば、腫瘍(しゅよう)の成長に例える学者もいるほどだ。
なぜ、こんな突然の進化が起こったのか。答えは見つかっていない。
脳の突然変異としかいいようがない。
しかし、これによって人間が「人間の脳」をもつようになったのは事実だ。
動物一般に比べて、人間の大脳ははるかに巨大だが、それも全て、この「前頭葉」のおかげなのだ。

自己表出性」とは何か?

C 現代の脳科学者は、「前頭葉」が人間にとっての「言語の脳」であると仮説を立てる。
だが、人間の「言語の脳」とは「意識の次元の強化・発達」すなわち「意識の自己表出性の発達にともなう自己を対象化しうる能力の発達」のことだ。
「自己表出性」とは、目、耳、鼻、舌、指などの五官覚のそれぞれの「知覚」の刺激とその内容を「長期記憶」として「表象」する、ということだ。表象とは「イメージスキーマ」「シェーマ」とも呼ばれるものだ。恒常的にイメージが思い浮びつづける、というのが「自己表出性」である。

D なぜ「自己表出性」というのかというと動物一般もまたなんらかの「イメージ」を思い浮べていると考えられるからだ。
これは、「現実的な対象にたいする反射」によるイメージと考えられる。ここには、現実の対象を了解し、区別するという「特定化」がおこなわれていると思われる。
動物一般は、必要に応じてしか行動しない。
主に、「飢え」にもとづく食欲が必要性である。
この欲求という必要性がないところでは、「食べ物」となる対象があっても「狩る」などの行動はおこさない。
これが「現実的な対象にたいする知覚の反射」ということだ。
だが、動物一般の中にも、「今すぐ食べるのではないが、必要とする時に食べ物が手に入るとは限らない」という「長期記憶」の原型のような「記憶」にもとづいて「プレ長期的な記憶」にもとづく「行動」をとるものがいる。リス、クマ、ハイエナなどだ。
人間も、「必要とする時に食べ物が手に入るとは限らない」という「プレ長期記憶」の強化、発達が強いられた。
これは、波のうねりのように迫って来ては引いて、また迫って来るというものであっただろうと考えられる。
この「プレ長期記憶」が体験の中で切実さをもったとき、「プレ長期記憶」のための中枢神経が進化する。それが「大脳新皮質」の発達である。
「大脳新皮質」の進化のモデルを想像してみる。

◎頭頂葉…食べ物はいつ、どこで、どのように手に入るか?次に手に入るのは、いつ、どこでか?(距離、角度、方向という空間のイメージ)
◎側頭葉…食べるべき食べ物は何と何か?それをどういう手段で家族に伝え、仲間にも伝えるか?(記憶を触覚の認知によってリアルな実感を思い浮べる。その実感性の記憶にもとづいて対象を間接的に表現する。ウェルニッケ言語野とブローカー言語野による長期記憶)
◎後頭葉…食べ物を目の前にした時に、どのような技術で、どのような行動の仕方で確保するか?(手足、指、発声も含む運動能力と機能のイメージ)
◎前頭葉…頭頂葉の空間認知・認識を中心に、後頭葉と側頭葉の認知・認識を「視覚の認知」として恒常化するというイメージづくりの機能で表象する

これが、およそ人間的な意識というものをあるがままにとらえたときの「意識の自己表出性の発達」の理論的なモデルというものだ。
「前頭葉」(パソコンにたとえるとディスプレーに相当する)に表象されるイメージの恒常性のあり方をさして「観念」という。この「観念」とは、人間の生理的身体が原則として一生、実在しつづけるのと同じ次元で「実在」しつづけるものだ。なぜかというと「長期記憶」とは、それはそのまま、いつでもどこでも「行動」にむすびつくものであるからだ。大木幸介のいう「筋肉」を動かし、コントロールする神経系によって「行動」にたいして一義づけられているからだ。

人間の「観念」は「自己を対象化」の像をつくる

E 「自己を対象化しうる能力の発達」とはなにか。
「自己表出性」によって表象(ひょうしょう)させられた「観念」というイメージは、ここでは、まだ特定のイメージを表象するのではない。動物一般も、人間も、五官覚の知覚の刺激によって現実の対象を認知するが、この段階ではまだ「反射によるイメージの表象」である。この段階は、動物一般と人間の差は無い。
「反射なしで表象されるイメージ」が「自己表出性によるイメージ」である。これは、あたかも「現実にたいする反射」があるかのように思い浮ぶイメージのことだ。
それはどのようなイメージであるのか?
岡本夏木(おかもとなつき)は『子どもとことば』(岩波新書)の中で、絵本作家のディック・ブルーナーの「0歳10ヵ月児」の「行動文脈」を観察して、「言葉以前」の「メタ言語」(イメージ思考)を次のようにとらえる。
??ガ?ヲ?ニ?スル。
このような「文章の構文」に相当する「行動の文脈」(プロット)を、成立させる。
?モデルとして子どもが「ボール遊び」をしている場面を想定する。
?…「ボール」が入る
?と?…「自分」と「相手」が交互に交替して入る。
?…動作(行動)である。
この????が、言葉の構文(文法)に置き換えられる。
F「自己を対象化しうる能力」とは、????の「行動の文脈」のイメージ表象のことだ。
これは「自己表出性」として思い浮べられるイメージが、さらに????というイメージに変わったということだ。
柘植久慶(つげひさよし)による紹介の宮本武蔵が書いた『五輪書』の説明は、????の「行動文脈」が、宮本武蔵自身の「長期記憶」にもとづいて「表現」されたものだ。宮本武蔵の「観念」の中に「対象の像を指示する」(『言語にとって美とはなにか』)というように特化されて、「表現的なイメージ」として思い浮べられたものが書かれている。

■「観念」という舞台の上に、『五輪書』と同じように表現的なイメージが言語で説明された事例をもうひとつご紹介します。

もうひとつの「自己対象化」の像の事例

『負けない技術』
(桜井章一、講談社+アルファー新書より、リライト・再構成。20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」)

@ 雑誌や本などで、ミスとか失敗について取り上げられているのをたまに見かける。
そこで説かれている内容を読んでみると、ミスとか失敗を本質から説き明かすのは案外難しいんだな、ということを思う。
たいがいは、ミスは回避するもの、二度とくりかえしてはいけないもの、という常識的なことを前提にして書かれていることが多い。

A 私の場合、ミスは回避するのではなくて、むしろ好んで向かっていくという姿勢でいる。

B たとえば、勝負事の中で、自分の犯した一回のミスに引きずられ、そのままずるずる負けてしまうことがある。ミスに囚(とら)われ、そこから抜け出せなくなって自滅してしまう。そうならないためにはどうしたらよいのか。

C 自分の犯したミスによって大なり小なりダメージは必ず生じる。
それはそれとしてあるがままに受け止める。「自分だけじゃない。相手も必ずミスをする」というふうに思えばいい。
自分だけがミスをするわけではない。ミスは相手もするものだから、自分のミスをなるべく小さくしようと努(つと)める気持ちが大切なのだ。

D ミスは誰もが犯すもの。だからミスを悔やんだり、非難するのではなく、傷口を広げないようにする。そうすればひとつのミスに囚われることもなくなる。

E 病院で受ける注射にたとえると分かりやすいかもしれない。
注射を好きな子どもはあまりいない。だから注射をされると大泣きに泣く子どもがいる。
だが大人で注射を受けて大泣きしている人はあまりいない。子どもは、注射の痛みよりも先に、恐怖感や不安感に囚われてしまっているから痛さが二倍にも三倍にも増してしまうのだ。大人は、「注射の痛さはだいたいこんなもの」と分かっている。

F ミスも注射と同じで、対処法というのがある。痛みを精神的に抑えるように、ミスもそれ以上広がらないように精神で抑えていく。
痛いのは当り前、ミスも当り前。それは誰でも同じ。
そう思って、その痛みやミスが、それ以上大きくならないように気をつければいいのだ。

G ミスをしたときに「まずい」と思わず、ミスをしてしまった「おもしろさ」を感じられるようになった時、初めてそのミスが生きてくる。ミスを「まずい」とだけ思っているうちは、その後にさらに大きなミスをする可能性がある。
「おれ、ミスしちゃった。おもしろいなあ。おれ、こういうことやっちゃうんだなあ」というくらいの余裕を持ってやっていると、それは後でよい結果をもたらしてくれたりする。

H そもそも、ひとつのミス自体はたいした問題ではない。重要なのはミスによってできた傷口を広げるか、広げないかだ。
ミスを隠そうとしたり、人のせいにするとその傷口はどんどん広がっていく。ミスをしたことの言い訳や言い逃れもやらないほうがいい。言い逃れや言い訳をくり返しているとそのミスを、今度は嘘(うそ)という大きなものに変えていってしまう怖さがある。その嘘はやがて敗北を招くことにもつながる。

I ミスを小さくするには、まずそのミスをしっかり受け止められるようにしなければならない。ごめんならごめんでシンプルに反省する。そうやってシンプルに済ませて、早めに次のことをやっていくようにするのだ。
ミスをしっかり受け止めず先延ばしにすると、同じことが怖くなってできなくなってしまうことがある。
ミスから逃げることは、逆に、ミスの連鎖にはまっていくきっかけとなってしまうのだ。こうしてミスから逃げる人間は、どんどん弱くなっていく。
ミスを犯した後に勝者と敗者の分かれ道がある。あくまでも「ごめん、悪かった。もう一度やらせて」という感覚でミスを受け止める。
「同じミスはもう二度としません」などと言ってしまうと、そこにプレッシャーや緊張が入ってきてけっしていい結果には結びつかない。

楽しくリスクを取りに行くために

J 「失敗は成功のもと」との言葉もあるが、ミスをするかもしれない領域で犯したミスが成功につながる。安全圏の中のミスは成功に結びつかない。「若いうちの苦労は買ってでもした方がいい」というが、そのくらいの気構えがないと人としての成長は望めない。

K 球技でたとえると、「捕(と)れない球を捕りにいく」感覚はとても大切だ。楽に捕れる球をポカしてミスをするのと、難しい球を捕りに行ってミスをした場合は、同じミスでもその性質はまったく違う。ミスしそうな領域に自分から飛び込んでいくことが進歩につながる。難しいことにトライして成功することで初めて、「あの人、すごいな」と評価されるのだ。

L 自分のできそうにない領域に飛び込んでいくのは、自分でリスクを取りに行く感覚がなければできない。そうやってリスクを楽しもうとすると、自分の中にある潜在能力が引き出されてくる。自分の可能性を広げるためには、ミスを怖がらずにリスクを取りにいく生き方が必要なのだ。ミスをする領域に踏みこんでいってそこでミスを減らしていく。
それが結果的に自分を成長させてくれる。

M 一人ひとりが「ミスは買ってでもしろ」という考え方になっていけば世の中のあらゆる勝負がよい方向へと向かっていくはずだ。それは、指導者やその場を取り仕切る責任者にこそ大切な概念でもある。
ミスにも“いいミス”と“悪いミス”がある。やる気があって犯したミスなのか、やる気のないポカミスなのか。指導者の側にはそういったことを見極める力も必要なのだ。

■桜井章一は、いわば「伝説の麻雀(マージャン)師」です。20年間一度も負け無しの無敗伝説をつくったといわれています。現役引退後、小説、劇画、映画のモデルとなりその名を広く知られるに至っています。著書もいくつか書いています。現在、60歳すぎ、というのがプロフィールのあらましです。

 この桜井章一ののべるところをご紹介した目的は、次のとおりです。

 人間は、つねに(恒常的に)なにごとかのイメージを表象します。この「イメージ」には、内容となる構造があります。そのことを観察していただくための事例です。具体的な展開は次の本ゼミにゆずるとして、お伝えしたい「構造の内容」とは次のようなものです。

次回のゼミの予告をかねた今回のまとめ

1.「観念」には構造があります。「二重になっている」というのが構造の基本です。
(注・例えていうとパソコンの「OS」と「アプリケーション・ソフト」のようなものです。)

2.ディック・ブルーナーの「乳児」の「行動の文脈」(文の構文に相当)は、『言語にとって美とはなにか』でいう「自己表出性」にあたります。
「人間の五官覚の知覚」の長期記憶の表象の恒常性が「自己表出」という概念の内容です。パソコンのソフトでいうとこれが「OS」に相当します。

3.『言語にとって美とはなにか』では「対象の像を指示する」(指示表出)といわれています。『共同幻想論』では「個人幻想」といわれている概念です。この「個人幻想」が「指示表出」でつくられるもう一つの「観念」です。「人間の観念」はこのように二重になっていることを理解しましょう。
宮本武蔵、桜井章一の論述は「指示表出」として像が表象された個人幻想の「模範」です。

4.「自己表出性」は、「心的現象」(吉本隆明)を内包します。
心的現象の典型は「夢」です。人間学的には「視床下部」(女性の視索前野、男性の背内側核)の長期記憶が中心となり、中隔核や扁桃核の記憶が表象されます。生育歴、家庭環境、文化(宗教も)の長期記憶のことです。

5.さわりの部分だけを「まとめ」としましたが、ここから分かることは、日本人の観念は、「自己表出」が「奈良時代」の女性の水準で止まっていて、「女性」を差別する「指示表出」が、ヘーゲルのいう「未分化」なままで「客体化」されているということです。
少し分かりにくいとは思いますが、できるだけ分かりやすくレクチュアしていきたいと思っています。ご期待ください。

カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第233号 一部掲載

関連
『日本語の年輪』(大野晋) 『負けない技術』(桜井章一)


連載
前回:日本語の文法の解体学・III 『言語にとって美とはなにか』2
次回:

参考:脳の働き方の学習のご案内

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「女性向け」、「男性の“女性”対応」のカウンセリング・ゼミです。
女性は「相手が喜ぶ」という共感がないと、ものごとを正しく考えられません。

女性と心を分かち合える「脳」を、最高に発達させる!!が教育の狙いと目的です。女性を「見る」「見たい」、女性から「見られる」「見られたい」関係をつくる、カウンセリング術です。

女性の「脳を健康を働かせる」!安心と安らぎを分かち合う、が教育のテーマと目標です。「気持ちが安心する。だから、知的に考えられる」という女性の本質を支えつづけるカウンセリング術です。

女性の脳の働きが伸ばす「人格=パーソナリティ」を目ざましく発達させる!が教育の方針です。 女性が社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と、知的に関われる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


脳と行動の診断

人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 ゼミ・イメージ切り替法の詳細
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
 カウンセラー養成ゼミ
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 カウンセラー養成ゼミ詳細
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
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 田原ごあいさつ

 
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時代の病理デウスドクター初期ノート ハンナ・アーレントの哲学入門 『人間の条件』 谷川うさ子
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