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カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第230号
11期19回め平成21年11月14日

ハーバード流交渉術・脳の働き方と言語の学習回路
浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
言語の生成・IX
日本語の文法の解体学・I
最強の知性のための「文法」と表現術

はじめに

 カウンセラー養成ゼミ、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー・認定コース、45のゼミをお届けします。
 今回から、日本語の文法のしくみに焦点を当てて、本格的な「あるべき最も望ましい文法」とはどういうものか?についてご一緒に考えます。
 2008年9月の「リーマン・ブラザーズ」の破綻以降、「バブル性の観念」が収縮して、喪失した信用や価値を回復させる方向や道筋が見出せないまま「一年」が経過しました。アメリカは、約1900万人の失業者が継続しています。日本も雇用情勢は回復せず、立ち往生がつづいています。混迷の時は原点に戻って内省と教訓をバネにして未来を切りひらくのが知性の王道です。
 今回から、その王道の構築にかかります。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 人間の「言葉の文法」の原点は、母と子のコミュニケーションです
  2. 「胎児」は人類40億年の進化を通過する
  3. 胎児は「聴覚」が発達する理由
  4. 「新生児」のコミュニケーションの能力
  5. 「0歳6ヵ月児」は「縄文時代の日本人」に相当する
  6. 「表象」と「表現」はどう違うのか?
  7. 「構造的写像性」と「構造的非写像性」の言葉
  8. 日本語(和語)は、外来語である
  9. 原日本語の四つの母音の上に成り立った日本語の「文法」のメカニズム

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム 言語の生成・IX
日本語の文法の解体学・T
最強の知性のための「文法」と表現術

人間の「言葉の文法」の原点は、母と子のコミュニケーションです

 言語社会学者の鈴木孝夫は、「人間のことば」とは一体何か?を問いかけて、次のように書いています。

?言葉は、誰にとってもあまりにも身近なものだ。だから、よほどのことがないと言葉についてあまり深くは考えない。だが、何かのきっかけで「これはどうしてだろう」と疑問をもちだすと、はっきりした答が得られないことがよくある。その一つが、身近にあるものに付けられた「名前」だ。
イヌはなぜ、イヌと呼ばれるのか?ネコは、どうしてネコなのか?辞書を見たり、周りの人に聞いても埒(らち)が明かない。
複合語の「竹の子」(タケノコ)は、なぜ「タケ」といい、「子」は、なぜ「コ」というのか。

?ネコ、イヌ、竹の子といった名前は、なぜそういう名前なのか?は分からないという言葉のことを基本語とか、基礎語という。日本語は、沖縄の古い言葉以外には近縁の言語が世界に存在しない。孤立語だ。古い文献に残されている形よりも、さらに前の段階の原日本語の基礎語の姿がどんなものであったのかを知ることがほとんどできない。

?この点では、英語などのヨーロッパ語ははるかに恵まれている。何十という近縁語が各地に存在する。今は死語となっている大昔の親類にあたる言語までが碑文とその他さまざまな形で残されている。かなりの数の基本語が、元はどういう意味をもっていたかを、ある程度まで説明できる。

「胎児」は人類40億年の進化を通過する

■鈴木孝夫は、ここで、日本語(和語・やまとことば)とは一体、どのようにして出来たものか?は分からない、とのべています。鈴木孝夫がここで「分からない」といっているのは、必ずしも原日本人はどういう言葉を使って話していたのか?ということに限りません。人間は、胎児、乳児、乳・幼児という成長と発達の過程をたどります。鈴木孝夫の「分からない」という結論は、人間の子どもは、いったいどのように言葉を記憶して、その言葉にもとづいて「行動」し、人間と人間の関係を維持したり深めたりすることができるようになるのか?が分からないと言っていることと同義です。

 ポルソナーレが調べた人間の子どもの「受精」から「出生」までの進化と発達のメカニズムのおおよそは、ほぼ次のとおりです。

  1. 受精…胚子(はいし)という。
  2. 4週め(32日目)…三木成夫ふうにいうと「魚類」に進化する。
    魚の形をしている。「胎芽」という。
  3. 34日目…三木成夫ふうにいうと「両生類」に進化する。陸に上がる魚類と同じような顔、姿をしている。
  4. 5週目(36日目)…「爬虫類・はちゅうるい」に進化。魚に類似した「えら」や「しっぽ」がとれる。
  5. 38日目…哺乳類に進化する。「手」「足」が出て来る。「目」が左右の位置に広がる。この段階で「胎児」となる。
  6. 6週目(40日目)…人間らしい顔の形になる。「いるか」か「あざらし」の顔に近い。
  7. 9週目(60日目)…手、足が伸びて「胎児」に完成する。
  8. 13週目…心臓が動き始めて血管をとおして血流を送りはじめる。目は閉じているが「まぶた」が出来て目の機能が完成する。この頃「羊水」が増えて「胎児」は水の中を泳ぐように手・足を活発に動かしはじめる。
  9. 20週目…耳、鼻、口の形が完成する。聴覚が機能する。音が聴こえるようになる。母親の心臓の拍動と血管を流れる血流の音を聴く。
    「指しゃぶり」をして、母乳を飲む機能を発達させる。
  10. 27週目…味覚が発達する。羊水の苦み、甘みなどを区別する。
    「羊水」を肺に摂り込んで吐くという「液体呼吸」をおこなう。
  11. 32週目…頭が下になって出生の位置が決まる。
  12. 40週目…生まれる日が近づく。人間としての五官覚の知覚能力が完成して心身の能力も完成する。
    この進化の過程は、三木成夫説によると人類の40億年分の進化過程に相当する。
胎児は「聴覚」が発達する理由

■「胎児」の成長・発達の進化の過程を見ると、「五官覚」のうち、「聴覚」と「触覚」(味覚も)が初めに完成していることが分かります。胎内の「胎児」は、聴覚を働かせはじめます。どのように聴覚を働かせるのか?というと、まず、母体である母親の「心臓の心拍の音」を聴くのです。そして母親の体内の血管を流れる「血流の音」を聴きます。心臓の心拍の音を聴くのは「Y経路の認知と認識」です。「血管の血流の音」を聴くのは「X経路の認知と認識」です。

 「Y経路」とは視覚の知覚神経のことですが、この視覚の神経経路に「聴覚の神経経路」もかさなっています。

 そして、耳の聴覚から側頭葉にある「聴覚野」に伝わって、「海馬」でエピソード記憶されるというしくみになっています。

 「Y経路」の聴覚の知覚対象の「母親の心臓の心拍」は、自律神経の副交感神経支配です。

 この副交感神経は、脳の中では「A6神経」のことでもあります。「A6神経」は意識の覚醒から、行動のための心や精神(人間的な意識)までを表象させたり、表現させます。

 すると、妊娠中の母親の精神状態が不安定ならば、「胎児」は、「心臓の心拍の音」が自分の心臓の心拍と連動して「遠くのものは、自分に不安定さをもたらす意思をもつ」とエピソード記憶します。そして、「母親の体内を流れる血管の血流の音」は、やはり副交感神経支配なので、おだやかでゆるやかな流れの「音」ではなくて、山の中の滝から流れ落ちる水の音のように激しい「音」として聴くでしょう。血管を流れる血流の音は「意思の内容」としてエピソード記憶します。「意思の内容」とは、「不安とは、子ども自身の不安と同じものだ」という「意味」のことです。

 大野晋の『日本語の年輪』(新潮文庫)には、日本人の宗教意識についての解説が書かれています。

櫛(くし)も見じ屋中も掃かじ草枕(くさまくら)
旅行く君を斎(いは)ふと思ひて

(万葉集)

 「髪をけずる櫛(くし)も見ない、そして家の中も掃かない。草を枕に旅に出ていくあなた様をお斎(いわい)すると思って」という意味です。

 「斎(いわう)」とは「祝う」のことです。「お祝いする」の語源です。

 この万葉集の歌は、「斎(いわう)」ということのもともとの意味が書きあらわされていると、大野晋は解析します。

 それは「感染呪術(じゅじゅつ)」といわれるもので「アニミズムの一つだ」というものです。

 アニミズムとは「自然信仰」のことです。「自然の中にいる霊」をおそれるという日本人に固有の宗教心のことです。ここでの「感染呪術(じゅじゅつ)」とは、女性が男性にたいして「関係の変化をおそれる」ことが歌われています。櫛、家の中の物は旅に出ていく男性が手で触れたものだ、それらのものに触って状態とか様子を変えれば、「男性と自分の関係も変わる」ことになる。男性が触れたものをつつしみの心、おそれの心をもって変えずにおく……それが「祝い」のもともとの原義の「斎(いわ)う」ということだ、と説明されています。「これから先もずっと良いことがつづきますように」という「斎(いわ)う」のが呪術行為(じゅじゅつこうい)としての「櫛にも触らず、見ない」「家の中を掃除もしない」ということです。

 ここでは、「手で触る」という「触覚」に認知と認識の内容が還元されていることが分かります。「聴覚」も「視覚」も、大脳の側頭葉にある「ウェルニッケ言語野」で「実在性の了解」が記憶されるということの実例として理解することができます。

「新生児」のコミュニケーションの能力
 「胎内」の「胎児」も、母親の心臓の心拍や血管を流れる血流の音を、側頭葉の「ウェルニッケ言語野」で「実在性の了解」として記憶するのです。

 心臓の拍動の音は、出生して生まれた以降、母親の発語する「声」(言葉)を「話す主体の意思として聴く」ことが認知と認識の原型になるのです。同じように、母親の体内を流れる「血管の血流の音」は、どういう「メタ言語」の意識になるのでしょうか。「話す主体が表現する意思の中身(内容)」、いいかえると言葉の「意味」に当る「表現的なイメージ」の認知と認識の原型になるのです。

 ここでは、「言葉」というものは、「触覚」による認知と認識を土台にして成り立っているということをお伝えしています。

 「触覚」とはウェルニッケ言語野の記憶のことです。「聴覚」も「視覚」も、ウェルニッケ言語野で記憶を「確定する」のである、という構造をご一緒にたしかめています。

 より具体的な実証例をご紹介します。

 正高信男(京都大学霊長類研究所教授・比較行動学)は『0歳児がことばを獲得するとき』(中公新書)の中で次のように書いています。

?0歳1ヵ月の新生児の観察。母乳を飲む時に、「吸う」「休む」「吸う」「休む」というサイクルをくりかえす。25秒は吸い、
14秒は休むというサイクルである。

?この「休む」という段階の新生児の口の中を見ると、母乳がたまっているのではない。つまり母乳を飲み込むために休むのではない。呼吸をととのえるために休むのでもない。また、飲むという行為にともなう「疲労」のために休むのでもない。なぜならば、「吸う」「休む」の25秒、14秒の間隔のリズムは最後まで変わらないからだ。

?なぜこのようなリズムがあるのかといえば、「14秒の休止」の時に母親が「よしよし」とか、「いい子ね」などと声を出しながら「新生児の体」を「揺する」ことにある。
新生児は、この「揺すり」の間は母乳は吸わない。
「揺すり」が止まると再び母乳を吸う。

?実験による観察をおこなう。
「20秒間、揺すり」つづけると、この間は、母乳を吸わない。また、母乳を吸っている際中に「揺すり」をおこなうと「吸う」という行為が止まる。また、「14秒の休止」の際に「揺すり」をおこなわないと、「吸うこと」が止まる。そして、「14秒の休止」の際に「揺すり」がおこなわれないと、「クーイング」
(cooing・心理学・言語学の用語)という発声行動があらわれる。「クーイング」とは、「アー」とか「クー」とかのやわらかな声のことで、「叫喚」といわれる激しい声とは区別されるものだ。

?新生児は、生後8週齢になると「吸う」「休む」のリズムの間隔の長さは「半分」になる。「吸う」は12秒、「休む」は7秒になる。母親の「揺すり」の時間は4秒になる。

?ここでは何がおこなわれているのかというと「社会的な交渉」が成立している。コミュニケーションの基本型だ。一方が何かを為せば、他方はそれを見守る。こんどは、こちら側が働きかけるというのが「社会的交渉」(コミュニケーション)の原初形態というものだ。この「社会的交渉」の形態が「吸う」「休む」「揺さぶり」というリズムなのだ。

「0歳6ヵ月児」は「縄文時代の日本人」に相当する

■この正高信男の観察に見る「新生児」と「母親」の交流は、二つの方向に分かれて進化します。一つはイギリスの精神医学者・ボールビーが提唱して発展させた『愛着』(あいちゃく)です。『愛着』とは、「親と子どもの間の関係は一つのシステム」を形成しているというものです。そのシステムとは、「システム」の内部では互いのパートナーが近くにいることを維持し、また必要に応じて接近するという関係を形成するというものです。

 個人間の親密で情緒的な絆(きずな)をもとにして成立する対人関係のことです。

 乳児は、「愛着」の対象に積極的に接近し、その接近を維持することで「安心」を確保し、その「愛着」の対象を安全基地にしてまわりの環境への探索活動という「行動」を可能にする、というものです。(『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』無藤隆・講談社現代新書)。

 人間は『愛着』というシステムをつくり、生涯にわたって『愛着』のシステムを必要とするということを実験をとおして実証し、追跡調査をおこなったのが「エインズワース」(アメリカの発達心理学者)です。『ストレンジ・シチュエーション』によって『愛着』の安定、不安定の測定をおこないました。

Aタイプ…回避型(わずかにしか愛着を示さない。愛着による安心の享受を諦めているパターン)
Bタイプ…依存型(愛着の対象に依存して、一人でいる時には無気力に陥る傾向をもつ)
Cタイプ…抵抗型(愛着の対象に対して敵意を示したり、攻撃的にふるまう)
Dタイプ…不適応型(親にたいして敵意を示す)

 「0歳6ヵ月」から「1歳児」に完成するそれぞれの「愛着」のタイプを追跡調査すると、そのまま「仲間関係」「課題の解決能力」「人生での安定した人間関係」「自分の行動の自立、自主、相互関係、共同の意識」などにあらわれるとのべられています。

 なぜ、『愛着』のシステムはこのような歪みを生じさせるのでしょうか。それは、人間は「表象」という人間的な意識の観念現象をもつからです。「心的な現象」ともいわれています。

 人間は、ものごとを知覚して、これを記憶し、イメージとして「表象」させる、という意識活動をおこないます。「知覚」して記憶することと、「表象」することは、全く別の異なった脳の働き方です。

 人間以外の動物一般は、「知覚」して記憶し、記憶した「知覚」を身体の行動にあらわすという脳の働かせ方をします。ここには「表象」ということはありません。大脳辺縁系の「欲求」とか「敵・味方」「好き・嫌い」ということを記憶する中枢神経と、「運動系」のいくつかの中枢神経とがむすびついて、行動の対象を「擬似的に表象する」という「知覚のイメージ化」をおこないます。動物一般が、脳に何もイメージしないのかというとそういうことはないと考えられます。

 しかし、人間のイメージの喚起は、動物一般の「イメージ化」とは異なります。人間の「イメージの表象」は、自律神経の恒常性によって常に思い浮べられつづけている、という喚起の仕方をします。原則としてほんのわずかでも「イメージの喚起」が止まるということはありません。これが「表象」(ひょうしょう)ということです。これは、脳の「新皮質」がおこないます。

 人間の脳は、神経系統の体系です。「大脳新皮質」「大脳辺縁系」「脳幹」の三つで成り立っています。これを「脳の三層」といいます。

 動物一般には「二層」しかありません。「魚類」の脳は「脳幹」しかありません。

 「鳥類」は、大脳辺縁系にあたる「大脳基底核」と「小脳」が発達して空を飛ぶことができます。人間だけが「大脳新皮質」という神経系統を発達させました。

「表象」と「表現」はどう違うのか?

 なぜ「表象」(ひょうしょう)という意識現象がおこなわれるのかというと、自律神経の恒常性に根拠があります。自律神経は、夜、寝ている時も働いています。「トイレに行きたい」とか「寒いから目が醒めた」ということがおありでしょう。これは「知覚系統」の自律神経が働いていることの証拠です。一日中、いつでも生きているかぎり、心臓が働きつづけるという恒常性の一環として、「知覚系統の記憶のイメージ」だけが「右脳系の前頭葉」に喚起しつづけます。

 これが「表象」のメカニズムです。すると、人間は、思い浮ぶイメージに従って行動する、という「新皮質」の特性をになっていることになります。思い浮ぶイメージのどれが「行動」を可能にするのか?という区別が必要になるでしょう。「行動を可能にするイメージ」が「表現としてのイメージ」です。

 この「表現としてのイメージ」を秩序立てるのが「言葉」です。

 外からの働きかけがある時に思い浮ぶ「特化したイメージ」が「表現としてのイメージ」です。

 もしくは、自分が働きかけた時に「特化して思い浮ぶイメージ」が「表現としてのイメージ」です。これが、正高信男のいう新生児と母親の間の「社会的交渉」です。新生児は、「母乳」を「吸う」「休む」、この「休む」の時におこなわれる「母親」による言葉がけの「よしよし」や「いい子ね」の発語、および「揺すること」によって「表現としてのイメージ」の原型を記憶しています。これは、「脳のウェルニッケ言語野」の知覚の記憶を中心にしておこなわれます。

 この「表現としてのイメージの記憶の仕方」をおこなっているのが「新生児」と「母親」との間の「社会的交渉」です。

 そしてこれが「言葉」によるコミュニケーションの原初的な形態にもなるのです。このことは、ここに「言葉」というものの最初の原型がある、と考えることができます。

「構造的写像性」と「構造的非写像性」の言葉

 鈴木孝夫は、前掲誌の中で、次のように書いています。

?言葉の中には、なぜそうなのか?が誰にもすぐ分かるものがある。有名な例は「カッコウ」という鳥の名だ。この鳥の名は、「カッコウ」と鳴くのでつけられた。

?「カッコウ」は、ユーラシア大陸に広く分布している。アフリカにもいる。日本には夏鳥として5月ごろに飛来する。「カッコウ」は、「托卵」(たくらん)をおこなう。オオヨシキリ、ホオジロ、モズなどの巣に托卵する。
10日から12日くらいで孵化(ふか)する。巣の持ち主のヒナよりも早く生まれてくる。カッコウのヒナは、持ち主の卵やヒナを巣の外に放り出して、親ドリに自分だけを育てさせる。

?朝鮮語では、カッコウを「クワコン」、ロシア語では「クワーシュカ」、古典ギリシャ語では「コキックス」、ラテン語で「ククルス」、トルコ語で「ググク」、ドイツ語で「クワック」、フランス語で「ククー」、英語では「クックー」と呼ばれる。日本語では「カッコウ」だ。

?このように、あるものが持つ特質を、これを言語音で模写して名付けることを「オノマトペア」(擬声語、擬態語)という。幼児が犬を「ワンワン」と言い、猫を「ニャンニャン」というのが「オノマトペア」だ。この「オノマトペア」は、欧米語には少なく、日本を含むアジアには多い。

?「オノマトペア」は、雷雨の時に雷鳴とともに稲妻が空を走ったのを見て「ゴロゴロして、ピカッと光った」というようにも作り出されている。閃光(せんこう)それ自身は音ではない。
擬声語でもあらわしようがないのに、鋭く短い「視覚」の刺激を「音の刺激」に変換して、「p」と「k」の破裂音を組み合わせて表現している。

?だが、このような「擬態語」「擬声語」は、私たちが使っている言葉の中ではきわめて少ない。では、なぜ、どのようにして言葉はつくり出されたのか。このように疑問と論争に終止符を打ったといわれるのが、スイスの言語学者「F・ド・ソシュール」(1857‐1913)だ。

?ソシュールの言語理論は、こうだ。

  1. 言葉と、それが対応する事物、現象との間には何らの必然的な関係はない。社会的に、たまたまそう決められている恣意的なものにすぎない。
  2. 言葉は、「構造的写像性」と「構造的非写像性」の二つがある。
    「オノマトペア」系の言葉は「構造的写像性の言葉」だ。
  3. では、「構造的非写像性」の言葉とはどういうものか。
    例えば、「大きい」「小さい」という形容詞を考えてみる。
    「大きい」という言葉を言うとき「大きい声」では発音しない。また、「大・中・小」の漢字を書くとき、「大」という漢字を巨大には書かない。
    また、ゾウ、イヌ、ネズミという名前を書くときに、ゾウの文字を巨大に書き、イヌはゾウよりも小さく、ネズミはもっと小さく書く、ということはしない。話し言葉で発音する時も同様だ。
    これが「構造的非写像性」をもつということだ。
    人間が一般的に使う言葉の多くは、「構造的非写像性」という「記号性」によって成り立っている。
日本語(和語)は、外来語である

■日本語(和語・やまとことば)には、「オノマトペア」(語)がたくさんあります。しかしまた、ソシュールのいう「構造的非写像性」を中心に成り立っているのが日本語(和語)であることも事実です。

 それは、どのような成り立ち方でしょうか。初めに鈴木孝夫が「どういうわけでそういうふうに呼ばれているのかは分からない」とのべている「猫」という言葉について、国語学者・大野晋はこう書いています。

?猫は、どうしてネコというのか。
ネコは昔「ネコマ」ともいった。朝鮮半島の「高麗・こま」から渡来したから「ネコマ」といい「マ」の音を落したのが「ネコ」だといわれている。

?「猫」(ネコ)より「ネコマ」の言葉の方が古い。『新撰鏡』(天治本)という平安時代の古い字書に「猫」「祢古」(ねこ)とある。『日本霊異記』(上)に「狸」(たぬき)を「祢古」と読む註記がある。
「狸」(たぬき)は現在はタヌキと読むが、古くは「ネコ」も指していた。

?また、東北地方では「牛はベーベーと鳴く」と聞くという。ものの名前の下に、しばしば「コ」をつける。「茶碗」をチャワンコという具合だ。
そこで「牛」を「ベエコ」とか「ベコ」とか呼ぶ。これと同じで「ネーネー」と鳴くから「ネコ」だという説もある。また「いつもよく寝る子」だから「ネコ」だという説もある。

■大野晋は、日本語(和語)はもともとの原日本人の住む「日本」にあったものではなく、「日本以外の国」(地域)から渡来したものだ、ということを実証しています。しかし、その「日本以外の国」(地域)の「文化」をそのままそっくり移植するように移し込んだのではなく、もともとの原日本語に融合させたという説明です。その例をご一緒に見てみます。

?「アハレ」(哀れ)という言葉がある。「アハレ」は古典文学の一つの中心となる概念だ。
心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮
(『新古今集』)

?この「アハレ」は「タミル語」にもある。
「苦悩」「痛み」「嘆き」「泣くこと」「悲しむこと」「悲しい感情」などが意味だ。「音韻の対応」によって、日本で使われるよりももっと古くから歌にあらわされている。タミル語ではav-alamと書く。

?この「アハレ」と並んで日本に渡来してきた言葉に「さび」と「わび」がある。
「さびしさ」という言葉は鎌倉時代の和歌の世界で多く使われた。室町時代の文学の主題として確立した。「さび」は「寂しい」の意味だ。奈良時代には、「さぶし」といった。荒涼たる様で、自分の期待したものがなく、心ではそれを求めているという意味だ。平安時代になると、斜陽族に転落した貴族が孤独と、冬枯れのような気分がいつもただよっていることをさして「さびし」「さび」といった。
その「さびしさ」が室町時代になると物の不自由さよりも心の自由さをもつ精神で「美」ととらえられた。

?「さび」と混同されるものに「わび」がある。「わび」は「謹んでお詫びいたします」の「お詫び」の「わび」が語源だ。「わび」とは期待が外れて悲しい目にあって力を落し、気力をなくすことをいった。
平安時代に「わび人」といえば「失意に泣く人」のことだ。世間の出世争いから離れてしまった人を意味した。「待ちわびて」といえば、女性が恋人をじっと待ちつづけて「これ以上は待つ気力もなくなった」ことを意味した。恋人を思いつめて苦しい思いに悩むのが「忘れわび」である。現代では「お詫びします」といえば、「あなたに迷惑をかけてがっくりと肩を落し、力を落しております」という意味になる。

山里は物のわびしき事こそあれ
世のうきよりは住みよかりけり
(古今集)

「山里は物が乏しい。暮しに困ることがある。しかし、宮廷に仕えて人々と意地悪をし合って不愉快な思いをして辛い目にあった。」このような「わびし」の言葉の意味はさらに変化する。鎌倉時代には「貧しい」という意味の「わびし」が多く使われた。鎌倉時代と室町時代の間に入る「南北朝時代」は古代的な日本が崩れていく断層となる。宮廷を中心とする古代的な実力者が没落して成り上り者の実力者が肩で風を切って歩く。そこで、簡素で質素な趣味を「美」ととらえる人々が出て来た。その理想が「わび」である。「さび」は孤独に徹して寂静(じゃくじょう)を美まで高めるものである。「わび」は、貧しさ、簡素さに徹した美を目指している。この「わび」「さび」を物の豊かさよりは心の自由さを重んじようとする強い精神に支えられた美であることを見なければならない。

原日本語の四つの母音の上に成り立った日本語の「文法」のメカニズム

■ここでご一緒に考えているのは、次のようなことです。

@ 日本語(和語)は、もともとはa、i、u、oの4つくらいの母音(ぼいん)による話し言葉だった。中国から漢字、漢語、漢文を輸入して、書き言葉(文字)を開発した。漢字を、「話し言葉」の「母音」の一つ一つに当てはめて「文字化」した。
すると、日本語(和語)はソシュールのいう「構造的非写像性」の言葉だということになる。

A 日本には、縄文時代の晩期にタミル語が入って来た。このタミル語は、タミル人の文化も運んで来た。その文化の中心となるものは「恋愛」「結婚」の観念である。それは「妻問い婚」に象徴される「女性が自分の家で男性を待つ」というものだ。この恋愛、結婚の観念は、古代日本の『瓜子姫』の原神話に見るように、「内」と「外」とを区別するという「行動意識」に同化した。そこで、日本型の恋愛、日本型の結婚という観念が深まった。その深まりを示す言葉の例のひとつが「わび」や「さび」である。これは、日本語の「ひらがな」は「構造的非写像性」という記号性をもつ。しかし、「母音」の発音は「発声」という触覚の認知に直結している。
すると、この「母音発声」がつくり出す言葉の「意味」は、「構造的非写像性」を表象する、という「文法の原型」をつくる。

B 人間は「言葉によって行動する」という本質をもつ。日本語の母音中心の「言葉」は、触覚の認知という「構造的写像性」を「内意識」「外意識」から「血縁意識」へという言葉をつくり出した。社会の変化は、この血縁意識(内意識)を、「外」に放出するという現象をつくる。
「自分は、外の存在になった」という社会現象だ。ここで「わび」「さび」の言葉の意味の変化に見るように、「動詞」「形容詞」「助詞」「助動詞」の変化が生じる。その変化の一つが「活用」ということだ。

C 大野晋によれば「わび」「さび」は、宮廷の人間関係の苦痛を回避することに「美」や「価値」があるとする。これは、「外なる存在」になった時の「不適応」の肯定ということだ。「行動が止まる」「行動停止」の悲哀の表象が「わび」「さび」「哀れ」である。「日本型の分裂病」の「自閉」「弛緩」「離人症」は、日本語の文法の「諦め」を生成するメカニズムに根本の根拠がある。

カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第230号 一部掲載

関連
日本語の文法理解と教育法 「ハーバード流交渉術」・IV


連載
前回:日本型の分裂病の構造・II 最強の文章表現のための「文法」理解の仕方
次回:日本語の文法の解体学・II 『言語にとって美とはなにか』

参考:脳の働き方の学習のご案内

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女性の「脳を健康を働かせる」!安心と安らぎを分かち合う、が教育のテーマと目標です。「気持ちが安心する。だから、知的に考えられる」という女性の本質を支えつづけるカウンセリング術です。

女性の脳の働きが伸ばす「人格=パーソナリティ」を目ざましく発達させる!が教育の方針です。 女性が社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と、知的に関われる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


脳と行動の診断

人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 ゼミ・イメージ切り替法の詳細
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
 カウンセラー養成ゼミ
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 カウンセラー養成ゼミ詳細
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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脳の働き方 百物語
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「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
ポルソナーレ代表
 田原ごあいさつ

 
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時代の病理デウスドクター初期ノート ハンナ・アーレントの哲学入門 『人間の条件』 谷川うさ子
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