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カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第224号
11期13回め平成21年8月8日

ハーバード流交渉術・脳の働き方と言語の学習回路
浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
言語の生成・III

分裂病の解体学・V
「日本語はいかにして成立したか」 (大野晋)

はじめに

 カウンセラー養成ゼミ、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、39のゼミをお届けいたします。
 「日本型の分裂病」についてご一緒に考えます。くりかえしてお伝えしているとおり、「分裂病」とは「弛緩・しかん」を合目的的に求める病理です。「五官覚の知覚神経が麻痺(マヒ)する」というのが主症状です。目、耳、口(喉)、手、そして呼吸器系の知覚神経が「ゆるみ」「たるみ」を起こすことです。
 原因は、日本人の場合は「日本語」への不適合です。今回は、この「日本型の分裂病の生成の機序」といったことをご一緒に明らかにします。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 「日本型の分裂病」とは、どういうものか
  2. 分裂病は「連想すること」がつくり出す病気
  3. 大脳辺縁系の扁桃核と中隔核の記憶を「真」とする
  4. 「ゆるみ」「たるみ」を進行させる
  5. 日本語は、客観性の表現が貧困
  6. 日本人の「主観」がつくる病気のメカニズム
  7. 「遺伝で病気になる」という思考のメカニズム
  8. X経路がつくる認知と認識の「文法」とは
  9. 日本語(和語・やまとことば)の「文法」の基本型
  10. 日本人の「対人意識」の実証例
  11. 日本人の「尊大語」の起源

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム 言語の生成・III
分裂病の解体学・V
「日本語はいかにして成立したか」
(大野晋・中公文庫より、リライト・再構成)

「日本型の分裂病」とは、どういうものか

 「精神分裂病」ということについてご一緒に考えてきています。
 今回は、「日本型の分裂病」についてご一緒に考えます。

 まず、「精神分裂病」とは何か?を確認します。

 「精神分裂病」という名称は、E・クレペリンやE・ブロイラーが臨床的に明らかにした理解からこのように呼ばれています。

 日本人は、「精神分裂病」という名称は「差別用語」であるとして、「統合失調症」という記号名称に変更しました。2002年7月には、日本で開かれた「世界の精神医学・精神医療の関係者の集まり」で名称変更を発表しました。

 「精神分裂病」という名称が「差別用語」だと考えられた理由は、ほぼ次の三つです。

  1. 「不治の病い」であると見られている。
  2. 社会的に注目される触法犯罪の事件は、精神分裂病者が病気によってひきおこす。
  3. 遺伝であるから、子どもにも継承されていく。

 E・クレペリンは、長い間「精神分裂病」のさまざまな症状をあらわす人々が社会的に不遇な状態に置かれてきたのを見て、「正当な医学の対象にすべきである」と考えました。そこで、臨床的に観察をつづけて記録しました。そして「早発性痴呆」と定義しました。E・クレペリンは、これにより「近代精神医学の祖」と呼ばれるようになりました。「精神分裂病」の原点の名称は「早発性痴呆」です。つまり「精神分裂病」とは、無数の症状をあらわすものですが、共通していることは「痴呆症」を特質としていて、この「痴呆症」が進行していくことにあります。この進行し、深化していく「痴呆症」をさして「不治の病い」とみなされたのです。

分裂病は「連想すること」がつくり出す病気

 「精神分裂病」という名称が定義づけられたのは「E・ブロイラー」以降です。「精神分裂病」という名称が「不治の病い」をもたらすのではなく、「早発性痴呆」と定義された「精神分裂病の病理」が「痴呆」を生起させて、深く、進行させて「不治の病い」に至らしめたのです。

 「E・ブロイラー」は、「E・クレペリン」が記述した「早発性痴呆」を整理して、症状を分類しました。

 その結果、「精神分裂病」とは「連想することで自らを弛緩させる病いである」と本質をとらえました。

 「連想」とは何でしょうか。

 休日のある日、ボンヤリともの思いにふける、という経験がおありでしょう。このような体験を、一日中家に居る老人は、「気がついたらもうお昼になっていた。食事をしてボンヤリしていたら、あっという間に夜になっていた」と話します。時間の経過が異常に速い、という心的な体験が語られます。

 「ふける」とは「耽る」「更ける」という漢字を用います。

 「思考に耽る」「夜が更ける」「秋が更ける」というように表現します。

 「度合いが深くなる」「十分に時が経過する」という意味です。「連想」とは、自分の「好き」とか「嫌い」という生(なま)の感情をもとにして「エピソード記憶」を想起させることです。大脳辺縁系の中枢神経の「扁桃核」や「中隔核」の記憶と「海馬」の「エピソード記憶」がむすびついて「右脳・前頭葉」に表象(ひょうしょう)します。イメージが思い浮ぶことが「表象」(ひょうしょう)です。

大脳辺縁系の扁桃核と中隔核の記憶を「真」とする

 「因果」という秩序を無視するのが「扁桃核」や「中隔核」です。「犬にベルの音を鳴らしてからエサを与える」とか「ハトにエサを与えるときに、ハトが片足を上げたらエサを与える」と、それぞれ、条件反射として生理現象をあらわす、という「記憶の仕方」があることをお話しました。

 これを「短期記憶」といいます。「連想」とは、この「短期記憶」を中心にして表象されます。自分の「知覚神経」が記憶していることに規定されて、条件反射として「イメージ」が表象されるのです。その「知覚神経の記憶」が、「扁桃核」の「好き」「嫌い」、「敵」「味方」の短期記憶です。あるいは「快感」「恐怖」を短期記憶する「中隔核」の知覚による記憶です。「短期記憶」とは、「行動が止まる記憶」という意味です。「食事を摂ったら、そのための行動は終了する」「水を飲んだら、そのための行動は完結したものとみなされる」というのが「短期記憶」の定義です。「テスト勉強のために暗記して、テストが終わったら何も憶えていない」というのも短期記憶です。しかし、「空腹になった」という「欲求」が、再び、「好き」「嫌い」を元にした「欲求のイメージ」を表象させます。ここで、「短期記憶のイメージ」が表象して、「短期記憶」の条件反射の「行動」がおこります。「エサ」を知覚した「犬」や「ハト」と同じ行動の仕方です。

 「連想」とは、「そうじ」や「予習・復習」「身体運動」が「嫌い」だから「好き」な「美化のイメージ」をとりとめもなく、因果を無視したイメージとして思い浮べることです。奔逸(ほんいつ・約束ごとを無視して、勢いよく先へ先へと進む、という意味)といいます。因果を不問にするので、ドーパミンの分泌にうながされて「おいしいところをつまみ食いする」ように、イメージが飛躍しつづけます。

 「好きだ」「嫌いだ」、「不安だ」「恐怖だ」のイメージは、現実の「物理的な時間」のもつ「身体行動の空間性のプロセス」(経過)から切り離されて、「ドーパミン」か「ノルアドレナリン」の伝達物質の刺激だけを感知する飛躍と奔逸をつくる「観念の時間と空間」だけを固定するので、あっという間に日常の時間が過ぎ去ります。これが、「E・ブロイラー」が定義した「弛緩・しかん」の内容です。

「ゆるみ」「たるみ」を進行させる

 客観的に見れば、ちょうど「輪ゴム」がたるみ、ゆるんでいるような状態です。「弛緩・しかん」とは、「扁桃核」か「中隔核」の「好きだから」「快感だから」「嫌だから」「不安だから」の以外の「行動」や「表現」の価値を「長期記憶」していない人が求めて安住したがる病理である、と「E・ブロイラー」は定義しました。

 このような「弛緩・しかん」は、必ずしも「社会犯罪」とまっすぐに結びつくものではないことはよくお分りでしょう。なぜならば、「精神分裂病」とは、「輪ゴム」の「たるみ」「ゆるみ」と同じように「行動能力」の崩壊を意味するからです。何が崩壊するのでしょうか。

 「目の視覚神経」「耳の聴覚神経」「口、喉の声帯の知覚神経」「手・指の知覚神経」が血流障害によって死滅します。

 「ノートに簡単な文章を書く」という行動を思い浮べてみましょう。「何を書けばいいのか?」「少し書いたが、書くことは、情緒的なことばかりだ」「自分の目的とか、目標について書こうとすると、願望や期待のことばかりだ」という体験になったということはありませんか?これは、自分の行動が、自分の現実にたいして不適応であることを示しています。「現実」を客観的に説明する「名詞」「名詞句」(「私の学校」など)、「名詞節」(「私が卒業した学校」など)、そして形容詞の「ク活用」の言葉(「高く」「赤く」「広く」「暑く」など)の概念が長期記憶されていないことが原因です。ものごとを客観的に説明しようとすると、呼吸器が無呼吸状態になります。心臓の「心拍」が低下します。ここで、五官覚の知覚神経に自律神経の交感神経が作用して、血流を送りつづけます。

 血管がタイトになり、血液が細々としか流れなくなります。

 さらに、細動脈から細静脈へとつづく血流のショート・カットが生じて、血流不足が生じます。

 この血管の収縮状態を副交感神経が固定するので「アレルギー状態」となります。痛み、かゆみ、シビレなどが知覚されるでしょう。このような「精神活動」にともなう「苦痛感」を拒否する行為が「弛緩・しかん」です。

 「連想」によって、「五官覚」の交感神経による緊張をゆるませ、たるませるのです。

 「たるみ」「ゆるみ」という「非精神活動の状態」を相対的に継続させると、「五官覚の知覚神経」は「全く使われない現実」がくりかえされるでしょう。ここで「五官覚の知覚神経の細胞」の死滅が始まります。

 「精神分裂病」が「進行性の麻痺・マヒ」といわれるのはこのような身体に及ぶ痴呆化現象を指しているのです。

日本語は、客観性の表現が貧困

 では、なぜ、「精神分裂病者は社会犯罪をひきおこす」と誰もが考えるのでしょうか。

 それは、「連想」という「観念」に理由があるのです。「連想」とは、扁桃核や中隔核の「生」(なま)の感情、欲求の短期記憶を元にして「海馬」のエピソード記憶を因果を無視して表象させることだ、とご説明しました。

 扁桃核は、「好きだ」「嫌いだ」「敵だ」「味方だ」という判断や選択を価値決定します。

 国語学者・大野晋はこのような日本人の日本語の表現のしかたは「形容詞」の表現形式になっている、と説明します。

  1. ク活用の形容詞…「高く」「広く」「少なく」「狭く」など。おもに「ものごとの状態」をあらわす。
  2. シク活用の形容詞…「美しく」「うるわしく」「嬉しく」「悲しく」など。おもに「情意」をあらわす。
  3. 日本語は、「状態」という客観的な事態を冷静に深めた認識を一つの観念として区別し、確立して表現するものの考え方を深めなかった。
  4. 「外の現実世界」を精密に観察して見分ける意識をもたない。すると言葉をいつまでも、大人になってもおおまかな定型的なとらえ方をしている。
  5. 和語(やまとことば)には「広い」の概念は「広い」の一語しかない。だが「漢語」では「博」「汎」「宏」「弘」「寛」「闊」と72文字に及ぶ。
    ここから「広大」「広汎」「広漢」というように客観的な描写が可能になる。
日本人の「主観」がつくる病気のメカニズム

■「美しい」「嫌い」「好きではない」などの形容詞系の「シク活用」に準ずる表現は「扁桃核」や「中隔核」の記憶から生まれた情緒的な観念であるということです。これは、日本語(和語)の思想の「距離の無い対人意識、距離の無い事物との関係意識」であることを意味しています。

 中隔核や扁桃核の「記憶」には「バッド・イメージ」があることはよくご存知のとおりです。物にしろ、人間にせよ、「壊れて歪んだイメージ」が「バッド・イメージ」です。「親が叩いた」「親が怒鳴った」「親がグチを言った」「親が不在で、放置された」などの体験の記憶が「バッド・イメージ」です。これは、「社会というものは、自分に敵意を向けている」「社会は、いつか、必ず自分を見離すだろう」「社会は、ひそかに自分を悪意の目で見ている」という日本語の記憶の仕方になります。それが「シク活用の形容詞」の日本語の同期を形成します。

 ここから「強迫観念」が生成されます。

強迫観念の例
「電車が恐くて乗れない」「電話が怖い。何を言われるか分からない」「面接が怖い。自分の人格をキズつけられる」「病気になるのが怖い」「親が死ぬのが怖い。ひとりぼっちになる」など。

強迫観念にともなう離人症の例
「仕事をしている時に全く別のことを思い浮べつづける」「人前で話すと言葉が出て来ない」「本や文章を読んでいるのに、頭の中が空白になる」「文章の言葉を意味不明のまま、たぶん、こういう意味だろうと見当をつけて書く」「会話の時に、相手の話の中身を前提にしないで、自分の好き・嫌いの関心事だけを一方的に話す(バーバリズム)」、など。

 このような「負のイメージ」が「右脳・前頭葉」に恒常的に表象されると、程度の差はあっても必ず「現実との不適応」という齟齬(そご)が生じます。「噛み合わない」「一方的に決めつけて対立を深める」というのが齟齬(そご)です。ここでは、「ク活用の形容詞」系に見る「客観性を意識する漢字・漢語」は無化されていることがお分りでしょう。「他者の意思」とか「集団の共同意思」を認識の前提に置くことができないので、「アジア型の共同幻想」の『禁制』を自ら表現するようになります。

 「何をしてはいけない」「何々をしたから許せない」「何々をしたから恐怖」「何々をしたから、遠ざかる」というのが『禁制』です。これを『黙契』として自分の行動倫理にするのが病理症状です。「人が自分を見るので、外に出れない」「人が自分を悪く思っているから自分から話せない」などが病理症状です。この「何々だから」に続く行動が「外に出れない」も「電話を一方的に切る」も「自分を無視している奴らを、自分にふり向かせてやる」も共通の「バッド・イメージ」の表象であることがよくお分りでしょう。このような条件反射(オペラント条件反射、パブロフの条件反射)として「社会犯罪」なるものが露出するのです。

「遺伝で病気になる」という思考のメカニズム

 「私の外出恐怖は、遺伝子によるものです」という発言を聞いたことがありませんか。この発言は「人間の観念」というものを徹底して無為のものと自己解体した発言です。無為とは、自然のままで、人工性は介在しない、という意味です。一般的には、「ブラブラして、何もせずに昼寝の猫のように自然時間のままに過すこと」の意味で用いられます。

 ちなみに『吉本隆明のDNA』(朝日新聞出版・藤生京子)という本がありますが、これは「吉本隆明を無為のものとしてとらえた人たち」という主旨になるでしょう。

 「人間の観念」とは、「ある時代、ある社会の文化や文明の言葉を「何々をせよ」という体験の強制として与えること」という「教育」によって存在します。「教育」とはこういう理念によって存在するものです。「無為」と「遺伝子」(DNA)は、「観念」にとっては、二律背反の概念です。「私の外出恐怖は遺伝子によるものです」という発言は、「何もしないことが一番良いことだ」というモチーフの言い換えでもあるのです。その昔、アウシュヴィッツのユダヤ人が「クリスマスが来たら解放されるだろう」と、根拠なき期待を互いに言い合いました。クリスマスのその日が来ても事態は変わりませんでした。「希望など持たないことが一番良いことだ」と「無為」を「連想」した人々は、その日からバタバタと倒れ、チフスにもなって死んでいきました。フランクルの証言です。

 「日本語」(和語・やまとことば)は「シク活用の形容詞」系の言葉に見るように、つねに「主観」のみを表現する、ということをご一緒に考えています。

X経路がつくる認知と認識の「文法」とは

 脳の働き方のメカニズムに置き換えると「X経路」による「言葉の習得と記憶」のことです。

 X経路とは、どういうものでしょうか。

  1. 「ベータ細胞」という視覚の神経節細胞がつくる。「外側膝状体(がいそくしつじょうたい)」の小細胞のことである。網膜から入った「光」を感受する。
    「後頭葉」の視覚野の視覚の神経経路の「V1」「V2」「V4」をとおして「頭頂葉」に至る。
  2. 色彩を認知する。
  3. 焦点を合わせて、事物を弁別する。
  4. 反応の速度は遅い。
  5. 「フーリエ解析」にもとづいて視覚情報をふるいにかけて、認識すべき成分を選択する。
  6. こまかい形状や面、点、線を認知する。

 これが、人間の「胎児」「新生児」「乳児」「乳幼児」にかけて誰もがもっている「メタ言語」を習得するメカニズムです。

 すると、この「X経路」の普遍的な「メタ言語」の言語とは、次のようになります。

  1. 「結果」をのべる。(「結果」=「どうなる」)。
    「赤くなる」
    「寒くなる」
    「季節は変わる」
  2. 「選択」「判断」をのべる。(「なぜならば」「こういう理由、根拠にもとづいて」)。
  3. AイコールB、BイコールC。
    故にAイコールCとなる。
  4. 「現在位置」をのべる。(「いつ」「どこで」「誰が・何を・どうした」)(時制と時間の経過)。
    (7月24日。土曜日の夜。私は恵比寿の駅前で、ボンダンスを見た)。
  5. 「主体」「対象」をのべる。
    (「誰は」「何は」)。
    「英語のdrinkとは、人の体を維持するために役立つような液体を、口を通して体内に摂り入れる行為のことだ」。
    「日本にとって『のむ』とは、何ものかを口を通して、噛まずに体内に摂取することだ」。
  6. 「基準」をのべる。(「定義」「ルール」をのべる)。
    「英語のbreakの意味…刃物以外の外力を急に加えて、何かを二つ以上の離れた部分にすること」。
日本語(和語・やまとことば)の「文法」の基本型

■このような「X経路」の「文法的な表現」の定式は、英語で表現しても、日本語で表現しても変わらない「認知」と「認識」の「記号化」(記号化とは概念化という意味です)です。

 しかし、日本語(和語)では、この「X経路」の表現は、次のようになります。国語学者・大野晋による説明をご紹介します。

@日本語の「口語の文法」に「係(かか)り結び」という「係(かか)り助詞」と「副助詞」がある。
係(かか)り助詞…「は」「も」「ぞ」「なむ」「か」「や」「こそ」。
副助詞…「のみ」「ばかり」。

  1. 「は」「も」が係りとして上にあると文末は終止形で結ぶ。
  2. 「ぞ」「なむ」「か」「や」が係りとして上にあると文末は連体形で結ぶ。
  3. 「こそ」が係りとして上にあると文末は已然形で結ぶ。
    (本居宣長による)。
  4. 英語では、S・V・Oを中心にした文の構文を教えられる。だが「係り結び」は「文の下の部分が変化する」としか教えられない。
    文例
    「我が庭に花ぞ咲きたる」
    (「たる」が連体形)。

Aだが、「係り結び」は室町時代に亡びた。次に浮上したのが『は』と『が』の使い分けだ。「係り結び」と入れかわりに登場した。

B『は』と『が』の相違について明確な解答をしたのは、松下大三郎だ。
「『は』とは、話の題目を提示するものだ。三上章という学者は、ヨーロッパ語から輸入した主語と述語という語を使うが、これは日本文の特性に合わない。主語を抹殺せよ」と主張した。

C現在の日本文は「文の主」の下に「が」を使うか、「は」を使うかのどちらかだ。これには、次の原則がある。

?『が』の上には、疑問のこと、未知のこと、新発見と扱うことを据えて構文の主とする。
?『は』の上には、話題としてすでに知っている、知られている、と扱うことを据えて、構文の主とする。『は』の上を「分かっているもの」と扱う。
文例
「本が部屋の隅にあった」
「本は、部屋の隅にあった」

D現代日本語は、「新知識」「新情報」を主にして文を作る場合は、『が』によって構文する。

Eまた、「旧知識」「旧情報」を主として文を作る場合は、『は』によって構文して、下に「新情報」を加えるという形式をとる。

F新・旧という情報の組み合わせが現代日本語の構文の基本である。
これは、「古文の時代」からの日本語の基本構造をうけつぐものである。

Gヨーロッパ語では、つねに「動作の主は誰なのか」「自分か、相手か、第三者か」を最初に明示して、確定する。ここから文を始める。動作や存在の「主語」を最初に確定して文をつくる。日本語とヨーロッパ語との相違はここにあるのではないか。

日本人の「対人意識」の実証例

 ここで大野晋が説明している「新情報」「旧情報」とは何のことでしょうか。

 日本人の対人意識を中心とする「遠い、中位の距離、近い距離」のことです。人間に限らず、自然物も、物も、人間の作る現象もこの「遠い、近い」の距離によって区別されていたと大野晋は説明します。これは、日本人の「対人不安」のメカニズムを観察するとよく理解されます。

 笠原嘉(よし)(精神科医)による『青年期』(中公新書・昭和53年)の日本人の対人不安の状況。

  1. 「半知りの人間がニガテ」…級友、学校の先生、近所の人、親戚の人。初対面はいいが、二度目に会うと緊張する。
  2. 「同年齢、同年輩の人がニガテ」…自分と似たような年齢の人と席を同じにするのが嫌だ。異性はとくにニガテだが、同性でも同年輩はニガテだ。
  3. 少人数のグループが困る。2人か3人の集まりでは、みんなの視線が集まるので嫌だ。
  4. 2人ならいいが、3人になると不安になる。3人になると同性でも耐えがたくなる。
    2人でいるところへ、後から1人が加わると、その人が誰であるかとに関わりなくその人にどう思われているか?と不安になる。
  5. 雑談が嫌だ。「間(ま)」が空くのが不安だ。そこで、やたらとムリにおしゃべりをして疲れる。

 人間関係の距離とは、「血縁意識」をベースにした自分との同化意識のことです。自分と一体になれば安心で、距離が遠くなるにつれて不安になる、という「大脳辺縁系」の扁桃核と中隔核の知覚神経の「同化」の記憶が表象されています。「Y経路」の認知と認識の概念が長期記憶されていないことが原因です。

  1. 条件…「どのように」
  2. 前提…「何と何が?」
  3. 因果…「どのような原因で、どういう結果になるか」
  4. 比較…「具体的な事実は何か?」
  5. どういう経過が内省されるのか?どういう変化のことか?
日本人の「尊大語」の起源

 これらが「Y経路」の文法的な表現の定義です。
 大野晋は、このような「距離のあるもの」に不安をいだく日本語のルーツを次のように説明します。

瓜子姫(山形県に伝わる民話)(要旨を再構成)

  • あるところにじじとばばがいた。
    二人は仲が良かった。だが、子どもはいなかった。
  • ある日。じじは山へ柴刈りに行った。ばばは、川に洗濯に行く。すると川上から赤い手箱が流れてきた。
    ひろうと、中から大きな瓜が入っていた。
  • 夜。赤ちゃんの泣き声がする。瓜が二つに割れて女の子どもが生まれた。この女の子は「トコロ」(山イモの一種)が好きだった。女の子には瓜子姫と名づけた。山には「トコロ」がたくさんある。ツルが出て、小さな玉がついているからすぐ分かる。じじとばばは、山に行って「トコロ」を掘ってきてたくさん食べさせた。
    瓜子姫は大きく成長した。
  • 瓜子姫は「機織り」(はたおり)をするようになった。
    じじとばばは言った。
    「今日もトコロ掘りに行く。だがこの頃は天邪鬼(あまのじゃく)が出没していると聞く。この家に来るとお前を食べるだろう。カギをかけていくから、決して戸を開けてはいけないよ」。
  • しばらくすると、天邪鬼が来た。
    「おいしい遊びを教えてやるよ」と言う。瓜子姫は興味しんしんで少し戸を開けた。天邪鬼は、力づくで戸を開けて家の中に入る。そして、瓜子姫をおいしく食べた。瓜子姫の着物を着た。すっぽんと瓜子姫に化けた。
  • じじとばばは少し様子が変わった瓜子姫に驚く。「トコロ」をガツガツと食うのだ。
    ハフハフとうまそうに食う。
    しかし、じじとばばは気がつかない。天邪鬼は、家の中に居すわった。
  • ある日。村の立派な家から「瓜子姫を嫁にほしい」と言ってきた。そこで天邪鬼の瓜子姫は、カゴに乗って嫁に行くことになった。
  • この時。カラスが飛んできた。
    瓜子姫の乗るカゴに天邪鬼が乗っているよと言う。
    村の人は、化けた天邪鬼を殺した。そして、「ソバの畑」に埋めた。
    以来、ソバの根は赤くなった。

 大野晋の『日本語はいかにして成立したか』(中公文庫)による解析はこうです。

  • 日本では、「縄文期以降」には「ヤマイモ」が栽培(さいばい)されていた。長野県の「縄文前期」の「阿久遺跡」からは「アワの遺物」が発見された。その次の時期には「ヒエ」「サトイモ」が栽培されている。そして「縄文晩期」には九州北部に「水田稲作」が始まった。
  • この「瓜子姫の民話」のパターンはポリネシア一帯に分布している。やはり、「家の中」に取り込まれた人間が「殺害」されて、食物となる植物の根元に埋めるというものだ。
    古代の社会の人間は、食物をいかにして入手するか、という行動パターンを「口で語り伝える」という物語にして継承した。
  • この「民話のパターン」は、「稲作」とともに「民話」の地位にとどまった。「稲作の行動パターンの物語」は、「神話」となって「国の権力者」の継承の起源として語られるようになった。これは、「話し言葉」ではなく、「書き言葉」で継承された。

 ここで大野晋がのべていることは、「内」と「外」の区別の由来です。もともとは「話し言葉」で物語として語り伝えられていた「日本語」(和語)が、「漢字」の輸入とともに、「音声」や「音韻」を中心にして「ひらがな」の原型がつくられた、という由来が解析されています。

 このように見て分かることは「遠くにあるもの」は、自然物にしろ、食べものにせよ、魔物にせよ恐いものだ、という「認識」です。「Y経路」の概念はあっても「曖昧」な定型としか認識されていません

 そして、「魔物」にしろ「自然物の食べもの」にせよ「家の中」に取り込まれると「殺害してもよい対象」になっています。これは「家の中の親しいもの」には「尊大にふるまってもいい」という文法の原型になっています。そして、「殺害した人間」を「畑に埋める」というのが「尊敬語」の原型になっているのです。

 日本語(和語)の文法の体系は、「食物をいかに手に入れるか」の物語から、「イザナミ」「イザナギ」「アマテラス」の「建国」の神話に継承的に発展する中で、「遠くのもの」の対象を「Y経路」の概念として、「禁制化」したのです。

 今の現代の日本人は、「Y経路」の概念を書き言葉の次元で、今なお習得していないので「分裂病」という「天邪鬼」に喰われつづけている、ということができましょう。

カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第224号 一部掲載

関連
「裁判員裁判」制度 日本型の分裂病の対策とアドバイス・V


連載
前回:分裂病の解体学・IV 「病名と告知・統合失調症」
次回:分裂病の解体学・VI 「日本語」(金田一春彦)

参考:脳の働き方の学習のご案内

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心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
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