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カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第204号
10期17回め平成20年10月11日

ハーバード流交渉術・脳の働き方と言語の学習回路
浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
話し言葉の生成・IV
『幼児の算数』(遠山啓・栗原九十郎)
『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』(無藤隆)

はじめに

 カウンセラー養成ゼミ、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、19のゼミをお届けします。
 脳の働き方のソフトウェアのメカニズムの解明をレクチュアします。
 前回までの解明で、脳のハードウェアを「メタ言語」に置き換えた「ブローカー言語野」での「話し言葉の記憶の仕方と学習の仕方」を明らかにしました。今回は、さらに「ブローカー言語野」の3分の1と3分の2のゾーンのメカニズムについてお話します。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 言葉は、「ブローカー言語野」の3分の1か3分の2のゾーンのどちらかで学習して、憶えます
  2. ブローカー言語野「3分の1」のゾーンのメカニズム
  3. ブローカー言語野「3分の2」のゾーンのメカニズム
  4. 「メタ言語」から見た「ブローカー言語野・3分の2」
  5. 乳児の「言葉の生成」のメカニズム
  6. 乳児の「話し言葉」の記憶のメカニズム
  7. ブローカー言語野「3分の2」の学習の方法
  8. 『幼児の算数』
    (遠山啓・栗原九十郎、国土社・刊より)

  9. 遠山啓のいう「数」(かず)の「意味」に相当するのが言葉の場合は、概念の「意味」です。
  10. ポルソナーレ式イメージ療法(プログラム) 「うつ」の局面を打開するイメージ療法

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
話し言葉の生成・IV
『幼児の算数』

(遠山啓・栗原九十郎、国土社・刊よりリライト・再構成)
『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』
(無藤隆、講談社現代新書・刊よりリライト・再構成)

言葉は、「ブローカー言語野」の3分の1か3分の2のゾーンのどちらかで学習して、憶えます
 前回の本ゼミでは、「言葉」は脳(大脳新皮質)のブローカー言語野で学習したり、憶えたりすることを明らかにしました。ブローカー言語野は、「3分の1のゾーン」と「3分の2のゾーン」の二通りに分かれています。なぜ、こうなっているのか?の理由は「コミュニケーション」のためであるだろうことは容易に想像されます。コミュニケーションとは、動物一般の次元でいうと、「母親」が「子ども」を保護したり、育てたりするための合図や信号が基礎になっています。猫でも猿でも、鳥でもいいのですが、「子ども」が一定度の身体に成長すると、「母親」の側から離れて行動します。遠くに離れすぎると、「子ども」は外敵に襲われて死ぬかもしれません。

 また、「母親」から食物を与えてもらえなくて、生きていけなくなることもありえます。

 このような事態にならないために「母親」は「子ども」に向けて「鳴き声」の合図を発します。「子ども」もまた「鳴き声」を発して自分の居場所を知らせるでしょう。このような光景をテレビで観たことがおありでしょう。また、日常の中で実際に見たという経験がおありでしょう。

 「動物一般」のこのようなことの観察の意味するものは、「鳴き声」は、「母」と「子」のそれぞれの「脳」の「触覚」に記憶されて、「身体」どうしがつながる、ということです。

 実際の個体は、空間が離れた位置にいるけれども、「つながっている」かのように了解されるということです。

 「動物一般」の「鳴き声」がこのようなものだとすると、「人間の話し言葉」も、合図や信号の次元をはるかに高くしたところで、「話し手」と「聞き手」とが「つながり」を「触覚」の知覚によって成り立たせることに根本の土台があると理解されます。

ブローカー言語野「3分の1」のゾーンのメカニズム

 人間の「話し言葉」は、まず、「動物一般」と同じように、「母親」と「子ども」の身体をつなぐものとして成り立っていると考えられます。この「動物一般」の「鳴き声」のもつ合図や信号と同じ「つながり」を記憶するのが「ブローカー言語野」の「3分の1」のゾーンです。

 「ブローカー言語野」の「3分の1」のゾーンとは、次のようなものです。

  • 脳の大脳新皮質は、4つの野(や)に分かれている。
    前頭葉(創造性をつかさどる)、後頭葉(運動機能の記憶をつかさどる)、頭頂葉(空間性の記憶をつかさどる)、側頭葉(記憶をつかさどる)の四つの野(や)である。
    ブローカー言語野は、側頭葉と頭頂葉にまたがって分布している。
    ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、側頭葉に位置している。
    側頭葉には、「ウェルニッケ言語野」が分布している。
    ブローカー言語野は、この「ウェルニッケ言語野」と隣接して、しかも直接につながっている。
  • ブローカー言語野は、「視覚のイメージ」を思い浮べる。
    この「思い浮べること」が「右脳」でおこなわれるときは「表象」(ひょうしょう)という。「左脳」でおこなわれるときは「表現」(ひょうげん)である。
    左脳(ブローカー言語野)で言葉が表現されるときは、必ず、右脳で、その言葉の「意味」に相当するイメージが表象される。これが「表現のメカニズム」である。(左脳と右脳とは相互性をもって連動している)。
  • ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、「ウェルニッケ言語野」の「触覚の認知」をクローズアップ(大きく拡大した視覚のイメージ)させる。ウェルニッケ言語野の「触覚の認知」とは、「手に触れる、などの皮ふ感覚の知覚」、「味覚」「嗅覚」などの知覚の記憶の中枢神経とつながっている。
    「ウェルニッケ言語野」の触覚の認知とは、五官覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)などの知覚の刺激の記憶をあつめる記憶の野(や)である。
    ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、これらの五官覚による知覚の記憶の対象のどれでも、クローズアップのイメージとして表象させる。
  • ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、「X経路」(視覚の知覚神経)が中心になって支配している。「X経路」は、対象を特定したり、関係づけを完成させる、という「認知」の仕方をおこなう。(例・「水を飲んだ」「食物を摂った」「性をした」など)。
    この「対象を特定化する」というときの決定の仕方は、「大脳辺縁系」の欲求、感情の中枢神経がベースになる。
    (注・「好き・嫌い、敵・味方」「性をしたい」「好み、嗜好による快感の対象を記憶する」など)。
    すると、ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンの記憶は、主観的、恣意的、解釈的になる傾向をもつ。
ブローカー言語野「3分の2」のゾーンのメカニズム
 ブローカー言語野は、「3分の2」のゾーンも構成されています。「ブローカー言語野」の「3分の2」の特性についてレクチュアしていることを整理してまとめると次のとおりです。
  • ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、頭頂葉の野(や)に入りこんで分布している。
    頭頂葉は、車のナビゲーターと同じような空間性を記憶する。(注・夜、トイレに起きたとき、入眠状態でトイレまで歩いていく。このときの「トイレまでの方向」「トイレまでの距離」「トイレに向かって進むまでにたどる角度」などの意識が空間性についての意識である。この空間性の意識は頭頂葉で記憶されている)。
  • ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンも「視覚のイメージ」を思い浮べる。
    (注・この「思い浮べること」も表象(ひょうしょう)である)。
    この「視覚のイメージ」は「パターン認知」が内容になる。対象についての間接的な知覚が記憶されて、これが思い浮べられる。
    (注・対象についての「間接的な知覚」と「パターン認知」は右脳のY経路(視覚の知覚神経)によって記憶される。この記憶を特定化して、「認識」の対象として記憶するのが「左脳」に位置するブローカー言語野の「3分の2」のゾーンである)。
  • ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、「自分」の身体の知覚と直接に接触していない対象を認知したり、認識する。
    このことは、「他者について分かる」「現実のことについて分かる」「自分の将来や未来の行動について分かる」という客観的な記憶をおこなうという特性をもつ。
「メタ言語」から見た「ブローカー言語野・3分の2」

■この「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンは、「話し言葉」を生成します。無藤隆の『赤ん坊から見た世界、言語以前の光景』では、次のような観察がリポートされています。

  1. 乳児は、生後5ヵ月から6ヵ月になると自分で動きはじめる。(「ハイハイによる移動」と「歩行器による移動」が可能になる)。
  2. 乳児の自分の力での移動は、乳児自身の「物は隠れていても存在する」という基礎的な認識の力がベースになっている。乳児は、この「物は隠れていても存在する」という「空間認識」の能力によって「移動」という「空間的な探索」をおこなう。

■ここまでの無藤隆のリポートについて簡単に、要点をまとめます。ここで乳児は、生後5ヵ月までに「母親」が自分に近づいてくるとか、「母親の表情」がさまざまに変化することを目で見て、了解しています。このときの「母親」は、乳児自身の身体と接触していないので、「右脳のウェルニッケ言語野」の触覚の認知の対象ではありません。Y経路による「パターン認知」によって「母親の表情や顔の形象の変化」が認識されていることが分かります。

 すると、ここでの@とAの乳児の「移動」は、「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンで記憶がおこなわれていることの実証的な証明になります。「行動」とは、「記憶のソース・モニタリング」という脳の働き方によります。

 「記憶のソース・モニタリング」とは、「目の前の対象」を見たときに、「自分の記憶しているものと同じか?どうか」をすばやくチェックすることをいいます。「同じもの」が記憶されていれば「ブローカー言語野」に、「記憶しているもの」が思い浮びます。(長期記憶の表象(ひょうしょう)といいます)。「同じもの」が思い浮べば、「行動」が起こります。もし、思い浮ばなければどうなるのでしょうか。

 「行動が止まる」か、もしくは、新しく記憶するための学習の対象になるかのいずれかです。

 「新しく記憶すること」が、「手で触る」「舌でなめる」「口に入れる」などの学習の仕方による場合は「短期記憶」になります。

 「短期記憶」は、対象と関わるという「行動」が止まればすぐに忘れ去られる記憶の仕方です。そこで、「行動を止めずにくりかえし反復して関わりつづける」ことで、記憶の喪失を防ぐ、という次善の策がとられています。

 「メモを執る」「人の話を聞きながら書き取る」(聞き書き)という記憶の仕方は「短期記憶」です。

 このような学習の仕方は「ブローカー言語野」の「3分の1」のゾーンでの記憶の仕方になることは、すでによくお分りのとおりです。

乳児の「言葉の生成」のメカニズム
  1. 乳児は、「移動」するようになると「母と子の関係」も変化する。乳児に、見知らぬ人が近づいてくると、乳児は、「母親」にたいして敏感になる。見知らぬ人が近づくと、乳児は「母親の表情」を見る。「母親」が「楽しそうな表情」になると「乳児」はほほえみを浮べる。(安心する)。しかし「母親」が「恐がっている表情」を見せると「乳児」は、「真剣な表情」を示す。
  2. 乳児は、自分が移動すると、離れた位置から「母親」の「表情」を見たり、「声」を聞き取る。
    乳児は、自分の行動をコントロールするために、「母親」の「表情」や「声」を記憶する。
  3. 乳児が自分の力で移動できるようになると、「母親」は乳児にたいして「自分の期待を伝える」「危険にたいして怒りを示す」「乳児の行動にたいして肯定的な感情を示す」(「言葉で愛情を示す」「抱きしめる」「一緒に遊ぶ」などが肯定的な感情である)。
  4. 乳児が、自発的に移動できるようになると、乳児自身にも変化があらわれてくる。「怒りを示す」「不安を示す」「母親の後を追うという『愛着』の行動を示す」などだ。
    また、乳児にとって遠くの地点で生じた出来事についても反応を示す。(猫がいるのを見ただけで喜ぶ、というパターンのこと)。
    乳児自身が、やってはいけないかもしれないことをやっている時に、母親が自分を見ているか、どうかをチェックする。

■ここまでの乳児の自発的な「行動」についてのリポートは、乳児自身の「記憶」と「記憶のソース・モニタリング」にもとづく「行動」が観察されています。

 「母親の表情を見て、安心してよいかどうかを認識する」「母親の表情や声によって自分の行動の意味(価値)を認知する」「母親の伝える感情や声(言葉)によって、行動の深まりや広がりを認知する」「自分自身の不安、安心の気持ちを根拠にして、母親との関係を発生させる」などが観察の内容です。ここでの乳児の脳の働き方は「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンが働いていることはよくお分りのとおりです。

 「遠くにいる母親と、母親の表情」「母親の表情を見て安心したり、緊張する」という認知や認識は、「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンであることの根拠です。

 ここでは、遠山啓(ひらく)が「水道方式」による「数(かず)の教え方」でのべている「タイル」(半抽象、半具体物)、「実物」、「数称」(概念)との「三者関係」が「乳児」に記憶されていることがよくお分りでしょう。

  1. 実物…猫、見知らぬ人、移動の中の空間性、空間性の中にある物
  2. 「タイル」に相当する意味…母親の表情、母親の顔、母親の声、母親の怒りや肯定的な動作(一緒に遊ぶ、抱きしめる、言葉によってホメる、など)
  3. 「数称」に相当する「記号としての言葉」ないしは「概念」…母親の表情、母親の顔、母親の声、母親の肯定的な動作

 この1.2.3が乳児の「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンで記憶されている「三者関係」です。「三者関係」とは、「推移律」によって成り立っていることは、すでによくお分りのとおりです。「推移律」とは、1.「実物」イコール2.「母親の表情」ならば、1.「実物」イコール3.「母親の声、ないし言葉」の関係が成り立つことをいいます。
  ここで2.の「タイル」(言葉の意味)に相当する「母親の顔、表情、声」と、3.の「数称」に相当する「記号としての言葉」ないし「概念」とが同じものであるのは、どういうわけなのでしょうか。すぐにお気づきの2.も3.も、それぞれ別個に学習して憶えなければならないものであるからです。この学習とは、あくまでも、1.2.3の「三者関係」として学習されるものでなければなりません。
  この「三者関係」を不問にして学習するときは、1.2.3のそれぞれを別々に、バラバラに憶えるという学習の仕方になります。1.の実物と3.の「記号としての言葉」(概念)だけを憶えることで精一杯、という憶え方が遠山啓(ひらく)のいう「聴暗算」や「数の唱え主義」です。これは、現実の実物と向かい合うとき「正しい数(かず)が分からなくなる」という行き詰まりや誤りをつくり出す、と指摘しています。

ブローカー言語野「3分の2のゾーン」で、言葉はこのように生成される

 0歳5ヵ月から6ヵ月ごろの乳児は、まだ、「言葉」をどのような意味でも学習していません。「これは猫というのよ」「この人は、あなたのお父さんよ」などと、言葉を教えてもらったり、学習してはいません。

 「実物」との関わりという「関わりのパターン」(行動パターン)を右脳の「Y経路」(視覚の知覚神経)によって「認知」しています。そして、この「認知」を記憶します。(左脳による認識のことです)。

 この段階の認知(右脳)と「認識」を仮に「初期設定」としましょう。この「初期設定」には内容があります。「母親の表情…喜び、恐れ」「乳児自身の気持ち…不安、安心」などがその内容です。「安心、喜び」と「不安、恐れ」に分かれます。そしてもうひとつ、「不安、恐れ」でもなく「安心、喜び」でもない内容です。乳児が自発的に移動をおこして、目で見た対象に向かっていくときの実物は、いわば「中立」(ニュートラル)です。これは、乳児が移動して実物の対象に向かっていこうとするときの「Y経路」による「認知」と「認識」のことです。母親が子どもの行動を喜び、「あら、がんばっているねー」と励ましているときに、母親も一緒に見ている遠くにある対象のことです。このときに目に見えていて、母親には分かっていて、子どもには分からない「名称」が「声」(言葉)に出されます。これが中立(ニュートラル)の対象です。この中立(ニュートラル)の「共同指示」(目で見た対象、および母親によって発語される名称)が「記号としての言葉」です。

 乳児は、まず、「対象の名前」を「三者関係」の中で「記号としての言葉」として記憶します。次に、「三者関係」の中で、「対象」を

  1. 「安心、喜び」
  2. 「不安、恐怖」

のいずれかの「行動の対象」として記憶するでしょう。

 この1か2のどちらかが「記号としての言葉」の『意味』として記憶されます。どちらが『意味』の言葉になるのでしょうか。

 もちろん1が『意味』の原型になるのです。「行動する」とは「自分に楽しいこと」か、「自分にとって利益になる」ことをもたらすことである、という本質をご記憶でしょう。この本質にてらすと1の「安心、喜び」の表情、母親の肯定的な行動、母親の発語が「記号としての言葉」の『意味』のモデルになるのです。

 「記号としての言葉」(母親の表情や声)と『意味』(母親の表情、声)が「二者関係」として記憶された時、「記号としての言葉」は中立(ニュートラル)な位置(まだ、乳児がなんらの行動も起こしていない段階)で「概念」として記憶されます。乳児は、行動を起こしていない段階で、対象についての母親の「共同指示」の「視線」や「発語」(発声)を耳で聞いたとき、その対象に関わった記憶をイメージするでしょう。「記憶のソース・モニタリング」が「右脳」の「ブローカー言語野」の「3分の1」か「3分の2」のゾーンのいずれかに表象(ひょうしょう)させます。

 『意味』も「初期設定」としての記憶からスタートします。「安心した」「嬉しかった」「おいしかった」「楽しかった」などの触覚による知覚の体験が「初期設定」としての記憶です。この「初期設定」の記憶は、再び、実物の対象を遠くから見たとき、「認知」と「認識」の対象になります。

 ここで『意味』が確定して記憶されます。

 「あれは、嬉しくさせるものだよ」「あのお母さんの表情は、安心していいものだね」などというように「記憶されること」が『意味』の確定です。

乳児の「話し言葉」の記憶のメカニズム

 では、乳児は、母親の話す「発声の言葉」をどのようにして記憶するのでしょうか。このメカニズムを理解するには、「糸電話」を想定してみると分かりやすいでしょう。みなさまも、子どもの頃に「糸電話」を作って楽しく遊んだことがおありになるのではありませんか。トイレットペーパーの「丸い筒」(芯)を二つ用意します。セロハン紙を筒の一方に、ぴしっと張るようにノリ付けします。このセロハン紙の中央に針で穴を空けて長い「糸」を通し、二つの筒につなげます。筒の一方に口をつけてささやくように話すと、もう一つの筒に耳をつけている人には、「ささやく声」が大きく拡大された声になって聞こえるでしょう。「糸」を伝わる空気の振動がそのまま「話し言葉」として聞こえるというしくみになっています。ここでは、「声は知覚される」という事実を確かめることができます。「知覚される」とは、ウェルニッケ言語野による触覚の認知です。

 ブローカー言語野は「3分の1」と「3分の2」のゾーンに分かれています。分かれていても同じ地続きの中枢神経です。「3分の2」のゾーンで「発声」や「発語」を聴くということは「Y経路」による「パターン認知」が記憶することです。この「パターン認知」は「x」(スモールx)経路によって認識されます。右脳の「3分の2」のゾーンの中での認識がおこなわれるのです。この「x」(スモールx)が「ブローカー言語野」の「3分の1」のゾーンの「X経路」によっても認識されます。この「X経路」の認識が「ウェルニッケ言語野」の触覚の認知で記憶されるのです。

 すなわち「3分の2のゾーン」の「Y経路」による「パターン認知」は、同時に「x」(スモールx)経路でも認識される、この「x」(スモールx経路)は「3分の1のゾーン」の「X経路」に通じているから「3分の1のゾーン」でも認識される、すると、「3分の1のゾーン」はウェルニッケ言語野と連結しているので触覚の知覚でも記憶される、という回路です。

 乳児は、このような回路をとおして「母親の話す話し言葉」を学習して記憶するのです。

ブローカー言語野「3分の2」の学習の方法

 「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンは、「話し言葉」を記憶するメカニズムをもつことを意味しています。「話し言葉」を記憶する、ということは、「話し言葉」を生成するということと同義です。ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンでは、「話し言葉」を生成しないし、また記憶もできない、ということです。

 「話し言葉」の記憶についてげんみつに定義します。

 ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、「学習する」ことをおこないます。「学習」とは「憶え方」のことです。ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、「記憶する」ということを中心にして学習します。学習する、勉強するということは第二義的であるということです。だから「暗記(丸暗記)を学習のことだ」と思っている人は、多大なストレスを受け取り心身に病気をつくるのです。このことを正確にご理解なさってください。

 ブローカー言語野の「3分の2」は「学習する」「憶え方を学ぶ」ための中枢神経群です。

 遠山啓(ひらく)は、このブローカー言語野の「3分の2」のゾーンでの「学習の仕方」を次のようにのべています。

『幼児の算数』
(遠山啓・栗原九十郎、国土社・刊より)
  1. 「十進法」を子どもに分からせ るために「計算棒」「貨幣」「色紙」などが使われてきた。だがこれらのものには、どれも欠陥がある。
    欠陥のないものが「タイル」である。「タイル」とは、数(かず)を「正方形」であらわすものだ。
  2. わたしたちが数(かず)を計算するときは何かを思い浮べる。何もないところでは計算はむずかしい。
    計算をうまくやるには、数(かず)をあらわす何かを頭の中(ブローカー言語野の3分の2のゾーン)で思い浮べながら計算していくのがよい。この頭の中(ブローカー言語野の3分の2のゾーン)で思い浮べる何かの映像(イメージ)のことをシェーマ(Schema)という。「タイル」はそのようなシェーマの一種だ。そして数(かず)をつかむには最も適切なシェーマである。
  3. 「数え主義」(ブローカー言語野の3分の1のゾーンで憶える)の欠陥は数(かず)を量(りょう)から切り離してしまう点にある。
  4. 数(かず)の言葉(数称)を丸暗記しても数(かず)の意味を知ったことにはならない。
    「もの」を数(かぞ)えるということは、数(かず)の言葉と実物の集合とを「一対一対応」でむすびつけている。この「一対一対応」を仲立ちさせるのが「タイル」である。
遠山啓のいう「数」(かず)の「意味」に相当するのが言葉の場合は、概念の「意味」です。

《例》

  1. 登る(のぼる)…「記号としての言葉」(ブローカー言語野の3分の1のゾーンの記憶)、「概念」(ブローカー言語野の3分の2のゾーンでの学習)
  2. 意味…人目の立つ高い所に移行すること(「タイル」に相当する)
  3. 実物…「集合としての物」に相当する。
    1.「講演のために台に登る」
    2.「有名な歌手が舞台に登ってきた」
    3.「都知事に当選したので、都庁に初登庁した」

《エクササイズ》
◎空念仏(そらねんぶつ)

意味(タイルに相当する)…実体のともなわない空虚な言葉をくりかえすこと。意味の分からない念仏を唱えることがルーツ。

実物に相当する「表現」

  1. 「思いつきで適当に空念仏のように話す」
  2. 「仕事で命じられた言葉を空念仏のようにくりかえす」
  3. 「実行すると決めたことを、先送りして実行せず、空念仏のように話す」

●このエクササイズの事例が「ブローカー言語野・3分の2のゾーン」での学習の仕方です。
ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンでの憶え方は「実物に相当する表現」の1,2,3のような表現ができないことをいいます。
  すると、「空念仏」とは、間違った「行動」であるにもかかわらず「空念仏」の行動をくりかえすという支障や障害を生み出すことがよくお分りでしょう。

カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第204号 一部掲載


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連載
初期・脳のシステムデザインの世界・1
初期・脳のシステムデザインの世界・2
人間の脳は「行動」をどう生成するのか
人間の脳の「自立した行動」のつくり方
人間の脳の働きの行動の生成1.「記憶と行動」のメカニズム
人間の脳の働きの行動の生成2. 「知的記憶と行動」の生成
人間の脳の働きの行動の生成3. 『フロイト先生のウソ』
人間の脳の働きのメカニズム・言葉と行動
脳の働き方のメカニズム・行動停止がつくる破滅
脳の働きのソフトウェアのメカニズム・人はなぜ、「脳のエセ科学」に騙されるのか
脳の働き方のメカニズム・病気の「言葉」と「行動」のつくられ方
脳の働き方の言葉の生成のメカニズム・「気持ち」と共同指示の「認知」と「認識」
脳の働き方「言葉の生成のメカニズム」・「言葉の意味」の生成の構造・2
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書き言葉の生成・IV
エクササイズ:ポスト「世界同時不況」の、史上最強の知性のつくり方を教えます
書き言葉の生成・V 『共同幻想論』 (吉本隆明) 「ラジオ型言語とテレビ型言語」
「共同幻想論」(吉本隆明) エクササイズ:ポスト世界同時不況の知性の学習モデル
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参考:脳の働き方の学習のご案内

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人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
 バックナンバー第8期から
 ゼミ・イメージ切り替法の詳細
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
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時代の病理デウスドクター初期ノート ハンナ・アーレントの哲学入門 『人間の条件』 谷川うさ子
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