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カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第201号
10期14回め平成20年8月23日

ハーバード流交渉術・脳の働き方と言語の学習回路
浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
話し言葉の生成・I
人間のことばと動物の「ことば」(鈴木孝夫)
『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』(無藤隆)

はじめに

 カウンセラー養成ゼミ、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、16のゼミをお届けします。
 脳の働き方のソフトウェアのメカニズムの解明をお届けします。今回は、「話し言葉」の生成のメカニズムの解明のパート・Tです。
 脳の働き方のメカニズムが分かると、心の病気の実体も必然的に明らかになることをご理解いただけていることと思います。
 人間は、言葉の「意味」によって「行動する」ことのしくみを論理実証的にお話しました。すると、次のテーマは、「話す」という「行動」のためには、どのような「言葉」が必要になるのか?が明らかにされなければなりません。
 日本人の「会話の能力」も解析していきます。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 「話し言葉」を分かることの価値
  2. 日本人の話し言葉のメカニズム
  3. 日本人の対人意識が「会話の仕方」の根拠
  4. 会話の「言葉」とは何か?の理解の前提
  5. 考え方の前提としてご紹介したいのは、鈴木孝夫の『人間のことばと動物の「ことば」』(『新潮45』2008・8月号)です。
  6. 動物の「発声」は「言葉」か?
  7. 「言葉」を正しく理解するための基礎知
  8. 人間の言葉は「認識」の脳のメカニズムが生成する
  9. ポルソナーレ式イメージ療法(プログラム) プッツンする相手との関係を好転させるイメージ療法
脳の働き方・言葉の生成のメカニズム
話し言葉の生成・I
人間のことばと動物の「ことば」
(鈴木孝夫『新潮45』2008・8月号よりリライト・再構成)
『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』(無藤隆)

(無藤隆、講談社現代新書より、リライト・再構成)
「話し言葉」を分かることの価値

 「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があります。みなさまもよくご存知の昔からの言い伝えです。なぜ、このような格言が伝えられているのでしょうか。

 「脳の働き方」のソフトウェアのメカニズムに即して理解すると、親しい関係の間柄だと思って、その場に思い浮んだ「言葉」をしゃべると、相手との関係がその瞬間から変化する、ということが経験則としてとらえられています。

 「脳の働き方」の「ソフトウェアのメカニズム」の最も大きい柱は「記憶のソース・モニタリング」です。

 相手の人が何ごとかを「話した」という状況を想定してみましょう。このときに相手が「話す言葉」は、すでに、相手の人から何度も聞いている「話し言葉」が、「記憶のソースモニタリング」として「右脳系のブローカー言語野」に「視覚のイメージ」として思い浮べられています。表象(ひょうしょう)といいます。

 「親しき仲」の「会話」の表象(ひょうしょう)は、親しさについての内容が、具体的な事実を橋渡しにして思い浮ぶというしくみになっています。「記憶のソース・モニタリング」のしくみは、「親しさ」の具体的な事実が思い浮ぶと、目の前の相手との「親しい関係」の行動が成り立ちます。

 しかし、目の前の人との「親しさ」が、会話の瞬間から変わる、ということが起こりえます。このようなことは、みなさまも、しばしば体験されたことがおありでしょう。

日本人の話し言葉のメカニズム
 その瞬間とは、どういう「会話」の時だったでしょうか。

 ここで、みなさまは、本ゼミの『ワンマンカウンセラー・コース』の「初級コース」の学習を思い出しておられることでしょう。

 日本人は、「親が右手」、「子どもは左手」という人間関係についての考え方を骨身にしみとおるように憶えこんできています。

 「右手意識」「左手意識」といいます。「右手」「左手」というのはメタファーです。「見立て」ということです。「月見うどん」は、うどんの中に玉子の黄身が入っていて「月に見える」ので「月見うどん」というメタファーが成り立っています。

 「右手意識」というのは、いつの間にか「相手を子ども扱いする」ような話し方をするというものの考え方のことです。「子ども扱い」とは、「相手が未熟で、無知も同然」といったニュアンスの言葉が語られることです。具体的にはどういうことをいうのでしょうか。行動したことや話されたことの欠陥を断定する場合でしょう。

 「左手意識」の場合は、依存や甘えの言葉が言いあらわされるでしょう。「自分は、こんなふうに不満だ」「自分は、そのようなことは嫌だ」といった生(なま)の感情を語る場合です。

 人間の生活は、ひとりの人間の好き、嫌いの気持ちで「行動する、行動しない」というようには成り立っていません。「行動すること」の対象は、それ自体の中に価値があるからです。

 「今日は、好きじゃないから、その対象にはもう価値がなくなった」というようには存在しないことは、よくご存知のとおりです。人間の「気持ち」は、「欲求」から「欲望」の実現の度合いに応じて「安心」か「不安」かを「右脳系のブローカー言語野」に表象(ひょうしょう)させます。このようなメカニズムになっていることも、よくご存知のとおりです。人間は、疲労とか体調の悪さ、親しい人間の精神的な不調などの理由によって、いつでも「不安な気持ち」を抱えています。するとその「不安な気持ち」のままに行動しないことを選択しつづけると、自分の身体の健康も、生活も、仕事も「現状維持」から「相対的に低下」していきます。「相対的低下」とは、老化、体力低下、手持ちの資産の減少、などです。企業などの設備では、「原価低減」という価値の減少で言いあらわされています。どんな立派な設備でも、10年も経てば、その資産価値はゼロになるという償却の考え方です。

 「左手意識」の「子どもの位置のものの考え方」にもとづいて会話をすると、人間関係の中で「自分が滅びていく」という話し方をしています。

日本人の対人意識が「会話の仕方」の根拠
 すでに『ワンマンカウンセラー・コース』(初級コース編)を学習してきてよくお分りのとおり、日本人の対人関係は「見る」「見られる」という眼の視覚を中心にして脳の中に記憶されています。

 「人は自分をどう見ているのか?」「自分は、人からどう見られているのか?」というヴィジュアルなイメージを「記憶のソース」にして対人関係の中で「会話」します。

 「右手意識」の人は、「自分の感じている感情のとおりに相手も、ただちにものを考えるべきだ」という言葉の言いあらわし方になります。

 「左手意識」の人は、「この人がいなくては、私は生きられない」というように、自分の「自我」(自分で自分の気持ちを独力で安心させる能力のことです)を滅ぼして、相手と同化して自滅することを喜びとする「被支配意識」という「話し方」をするでしょう。

 日本人は、「親が子どもを見る」「子どもは、親を見る」という視覚によって相手を記憶します。

 相手の顔色や目の感情を「見る」のです。

 相手の表情にあらわれる自分との「距離感」を「記憶のソース」にして、対人関係の中で「会話」します。「距離のない関係」をあらわす「言葉」を「記号として暗記」していて、これを言いあらわします。このときが「良好な人間関係である」として、「行動」にあらわします。

 「行動をあらわす」とは、「話をする」ということです。「距離がある」という「記憶のソース」があれば、「会話は不成立」です。「距離がない」という「記憶のソース」が表象(ひょうしょう)されれば、実際に、その相手が目の前にいなくても「会話」が無限に続行しつづけます。「妄想の相手」と「妄想のコトバ」で会話しつづけます。

会話の「言葉」とは何か?の理解の前提

 まず、日本人に見る「会話」の「非言語の脳の働き方」とは、どのようにして成り立っているものなのか?をテーマにして、「話し言葉」の「脳の働き方のメカニズム」を明らかにしてみましょう

考え方の前提としてご紹介したいのは、鈴木孝夫の『人間のことばと動物の「ことば」』(『新潮45』2008・8月号)です。
  1. イヌは、なぜイヌと呼ばれるのか?ネコは、どうしてネコなのか?はっきりした答えがえられないことが多い。
  2. 複合語の「タケノコ」は、文字どおり「竹の子」の意味である。では、その「竹」は、どうして「タケ」というのか。
    そして「子」は、なぜ「コ」なのか?と問われるともうお手上げだ。イヌ、ネコ、ネズミなどと同じく、それ以上は説明することはできない。
  3. 「これ以上、立ち入ることができない」イヌ、ネコのような言葉は「基本語」とか「基礎語」と呼ばれる。
  4. 日本語は、沖縄の古い言葉以外に、近縁の言語が世界に存在しない。だから「孤立語」といわれる。「孤立語」とは、古い文献に残されている形よりも、さらに前の段階の「原日本語」(prto-japanese)での「基礎語」の姿がどんなものであったかを知ることができないことをいう。
  5. この点では、「英語」などのヨーロッパ語ははるかに恵まれている。何十という「近縁関係のある言語」が各地に存在する。
    その上、今は「死語」となっている大昔の親類にあたる言語までが、碑文(ひぶん)その他のさまざまな形で残されている。かなりの数の「基本語」が元はどのような意味をもっていたか?をある程度まで説明できる。
  6. ところが、言葉の中には、なぜそうなのかが誰にもすぐ分かるものが、いくらかは存在する。
    有名な例は、どの言語学の本にも出ている「カッコウ」という鳥の名だ。この鳥の鳴声を聞いた人は、この鳥がなぜ「カッコウ」という名で呼ばれるのかを、なるほどとすぐに納得する。この鳥は、ユーラシア大陸に広く分布している。どこの言語でも、この鳥の特徴のある鳴声を写した日本語の「カッコウ」にとてもよく似た形の言葉をもっている。朝鮮語は「クワコン」、ロシア語では「クークシュカ」、古典ギリシャ語では「エキュックス」、ラテン語で「ククルス」、トルコ語で「ググク」、ドイツ語で「ククック」、フランス語で「ククー」、英語で「クックー」というわけだ。
  7. 「カッコウ」の例に見るように、あるものが持っている「音的な特質」を可能なかぎりそれに近い「言語音」で描写して、そのものの「名」としたものを「擬声語」(「オノマトピア」もしくは「オノマトペ」)という。
    一般に、「幼児語」といわれる小さな子ども相手の言葉には「ニワトリ」を「コッコ」、「イヌ」を「ワンワン」と言う「擬声語」が多い。
  8. 人間の「脳」には、「共感覚」というものがある。外界からの「音の刺激」以外の「感覚刺激」を「音の刺激」に変換する仕組みのことだ。
    例えば、「雷雨」の時に、「雷鳴」とともに「稲妻」(いなずま)が空を走ったのを見て、「ゴロゴロと同時に、ピカッと光った」などと言う。
    しかしよく考えてみると「閃光」(せんこう)それ自体は「音」ではない。その鋭く短い「視覚刺激」を「音の刺激」に変換している。「ピカッ」というどちらも持続時間の短い「p」と「k」という破裂音を組み合わせることで表現している。そこで「ピカッ」のような言葉は「擬態語」という。「音」以外の「事物現象」を「共感覚」の仕組みを利用して、本来的には「音声」でしかない「人間の言葉」の仲間入りをさせている。
    「擬態語」には「黄色い声」「甘い声」「暖かい感じのする壁紙」「冷たい態度」「ツルツルの氷」などがある。
  9. ところが、私たちが毎日、話しているたくさんの数の「語彙」(ごい)の中では、「擬声語」「擬態語」の数は、全体としてはきわめて少ない。「イヌ」「タケ」のように、なぜそのようになったのかが全く見当もつかない。このことについての「ギリシャ」以来の論争のポイントはこうだ。
    • 古くから、言葉と事物との間には、もともと何らの必然的な関係など何もなかった。
    • 「擬声語」や「擬態語」にその一部がうかがわれるように、言葉というものはもともと「事物現象」のもっているなんらかの「性質的な特徴」、または、「事物の本質」(etymon)と密接な関係があった。だが、長い年月のうちにそれが見失われてしまった
  10. このような論争状況に終止符を打ったとされるのが、スイスの言語学者「F・ド・ソシュール」(1858〜1913)だ。
    ソシュールの発言はこうだ。
    「言語記号(言葉)とそれが対応する事物現象との間には、何らの必然的な関係はない。社会的に、たまたまそのように決められている恣意的なものにすぎない」。
    ソシュールのいう「社会的に決められている」ということは、規則や法律のように人々が意識して合意した結果そうなったということではない。
    誰が言うともなく、いつの間にかそう決まった、ということだ。
    これを「社会的な黙契(もくけい)」という。ソシュールは、「言語記号のもつ恣意的契約性」と呼んだ。
  11. 私(鈴木孝夫・社会言語学者)は、ソシュールの「恣意的契約性」だけでは、人間の言語が、他の動物のもついわゆる「言語」とは決定的に違うものだとは説明できないと考えてきた。
  12. 動物の「言語」は、「写像性」が強い。しかし、人間の「言語」は「非写像的」である。しかも構造的にも「非写像的」である、という違いをもつ、と考える。
    「写像的」「写像性」とは、ギリシャ語の「イコン」(像)に由来する。あるものが、何らかの意味で他のものの写し、あるいは「投影」と考えられるときに用いられる。
    「擬声語」「擬態語」は、事物対象のもつ特質を言葉の世界に写したものだから「写像性」をもった言語記号といえる。
  13. 一般の「記号言語」は、それが対応する事物現象との間に、どのような意味でも「写像関係」はない。
  14. 例をあげてみる。「大きい」「小さい」という形容詞がある。「大きい」と言う時に、「小さい」という言葉を言う場合と比べて、「大きい声で発音する」ということはない。文字で書く時も同じだ。「大きい文字」を「小さい文字」よりも「大きく書く」ということはしない。
    これが「非写像的」ということだ。
  15. 人間の知能に近いと考えられているのが「チンパンジー」だ。「ものまね」が上手と考えられているチンパンジーは、「外界の音」をマネして再現することはない。
    サルに「おはよう」と言っても、サルが「おはよう」と返事することはない。
    だが、人間は、あらゆる「音」をマネして再現する。
    子どもが言葉を覚えるときも、大人の音声を聞いて、それをマネしながら「再現」する。
    サルには「音声学習の能力」が欠けている。
  16. 「音」をマネして再現できるかどうかは、「知能」とは直接関係はない。
    鳥類は、外界の「音」をとりこみ、再現する。「物マネ鳥」といわれる「九官鳥」「インコ」「オウム」などがそれだ。
  17. オーストリアの動物行動学者「カール・フォン・リッシュ」(一八八六〜一九八二)は、「ミツバチ」が、巣箱の中で、数字の「8」の字を横にしたダンスを踊ることを発見した。この「ミツバチ」のダンスは「構造的写像性」で成り立っている。この「ミツバチ」の踊りは4つの要素で成り立っている。踊りの速さは「花などの蜜」までの距離、踊りの持続時間は、出動すべき「ハチの数」、「8の字のダンスの交差する直線部分」は「太陽にたいする角度」、踊りつづけるハチが他のハチと接触するたびに、自分の体についている花粉、蜜を相手に移すことで目標の花の種類を教えている、というものだ。
  18. 「ハチ」は、なぜ「構造的写像性」の「言語」をもっているかというと、「生きていくために必要な生活範囲」はせいぜい4キロか5キロと限られているためだ。
  19. 人間は、「活動範囲」が広く、複雑だ。「写像原理の記号体系」では歯が立たないから「記号体系」は「構造的非写像性」をもつに至っている。
動物の「発声」は「言葉」か?

■「社会言語学者」の鈴木孝夫の「人間の言葉」「動物の言葉」についてのべているところを、ご紹介しました。
 鈴木孝夫がのべているところで問題になるのは、「鳥」「ハチ」「サル」などの動物が発声する「鳴き声」を「言葉である」と規定している点です。人間の話す「話し言葉」と同列に並べて、「同じものである」と考えています。

 「言葉」とは、何でしょうか。

 「モールス信号」や「のろし」(火の煙を上げて、合図を送ること)は、言葉ではなくて「合図」もしくは「信号」です。何らかの「行動」のための「意味」を伝えることができます。「言葉」の要素は成り立っています。「要素」とは「記号性」のことです。

 人間の話す言葉も「記号性」の要素で成り立っています。だから、「モールス信号」も「のろし」も「鳥の鳴き声」も「サルの叫び声」も広い意味では「言葉のカテゴリーの一つ」ととらえることができます。

 しかし、だからといって「動物の鳴き声」と「人間の話し言葉」とは、同じ次元で成り立っていて、同じメカニズムをもつ「言葉である」と規定することはできません。

 「言葉」とは、「概念」(がいねん)のことです。「概念思考」という言葉があるように、ただちに「行動」にはむすびつかず、「予測」とか「予想」「推察」「内省」といったような「行動すること」を対象にした表現を可能にするものが「概念」(がいねん)です。

 「鳥」「ハチ」「サル」「イヌ」「ネコ」などの動物、虫の「鳴き声」や「ダンス」は、その場、その時、その瞬間の「行動」にむすびつくことしかできません。「その場の動き、その瞬間の行動」にむすびつくためだけの「発声」や「パフォーマンス」のことを「信号」もしくは「記号性」の表出といいます。

 「表出」とは、人間でいうと「右脳系」に表象(ひょうしょう)される目、口、舌、皮ふ、鼻などの五官覚の「知覚」の自然音や自然な身体活動が「現象」としてあらわされることをいいます。

 「人間の言葉」は、表象(ひょうしょう)ではなくて、「表現」(ひょうげん)としてあらわされます。ある「音」が発声されるとき、そのときの「発声の音」で「行動」が成り立つのではなくて、その「発声の音」のもつ「意味のイメージ」によって「行動」が成り立ちます。

 「人間の言葉」は、どのような場合でも「意味のイメージ」をもっています。

 「記号性の言葉」として発声されているように見えても、その「記号性の言葉」には「意味のイメージ」がセットになっています。

 人が「あ」という音を発声しても、その「あ」の音には、自動的に「意味のイメージ」がリンクされています。「驚いた」という意味かもしれないし、「忘れた」もしくは「ハッと気がついた」という意味のイメージかもしれません。「記号性の言葉」には「意味のイメージ」がセットされているというときの言葉を「概念」といいます。

 鈴木孝夫には、このような「言語」についての構造的な理解が無いのです。

 しかし、鈴木孝夫の考察には「発声すること」は、どのようにして「話し言葉」になるのか?についての重要な観察があります。それは、「鳥」「ハチ」などの動物と人間の「発声」は、どのようにして「人間」と「動物」とを違えているのか?ということについての観察です。

 人間と鳥や一般の動物の「発声」(鳴き声)とを違えているものは、「記憶のメカニズム」です。同じように、人間と鳥、一般の動物の「発声」(鳴き声)を共通にしているものも「記憶のメカニズム」です。この「記憶のメカニズム」に、人間と鳥、動物一般とでは、前者には存在して、後者には存在しないものがあります。また、共通する「メカニズム」もあります。

 すでにお分りのとおり、人間と鳥、動物一般に共通する「記憶のメカニズム」をつくる中枢神経の集合体は、「大脳辺縁系」と「小脳」「脳幹」です。

  • 大脳辺縁系……生きていくために必要な「欲求」や「好き、嫌い、敵、味方」の価値を記憶する中枢神経の集合体。身体感覚、こまやかな動きも記憶する。
  • 小脳……運動機能のための中枢神経の集合体。内臓の動きを集めたり働かせるアナログ系の中枢神経と、足腰、腕、脊髄、喉を働かせるデジタル系の中枢神経の二つで層を成している。
  • 脳幹(延髄も含む)……呼吸中枢、自律神経の中枢神経の集合体。自律神経は、「上向システム」「下向システム」(注・上行、下行、と表記している文献もあります)をつかさどっている。血圧を上げて身体の必要な部位に血流を送るシステム。目で見た方向に体を向けて、同時に足や腰を動かす、などの場合に、目と足、を同時に働かせるのが自律神経の「上向」と「下向」のシステム。
「言葉」を正しく理解するための基礎知

■一般の動物にも「脳」はあります。

  しかし、その脳は、目や耳、口、鼻、皮ふなどの「五官覚の知覚機能」の中枢神経だけの集合体としての「脳」です。

 「五官覚の知覚機能」は、生態学的にいいかえると、「視覚」「聴覚」「触覚」の三つの「感覚」に集約されます。

 人間と、一般動物の「視覚」「聴覚」「触覚」の違いとは、どのようなものでしょうか。

 それは、本ゼミで学習しているみなさまには、よくお分りのとおり、「記憶の仕方」の「認識」と「認知」に違いがあります。

 人間は、「認知」という記憶と「認識」という記憶をおこないます。動物一般は、「認知」という記憶しかおこないません。

  • 認知…対象となるものがげんに、そこに在る、ということを分かる了解の仕方。
  • 認識…対象となるものが二つ以上存在する。この二つの対象の属性や性質などの違いと差異を区別して、違いと差異によって対象を特定する分かり方。

■「認知」という分かり方は「触覚による認知」がベースになります。それは、「食べ物を摂取する」という関わり方が証明します。人間も含めて動物一般は、「食物を手に入れて摂取する」ことが行動の基本型です。動物一般は、「食べること」と「生殖」だけがゆいいつの行動の内容です。

 ここに、暑さや寒さという環境に適応した行動と、種の保存のために「外敵」からの逃避や攻撃の行動が加わります。いずれも「認知」という分かり方は、「触覚の認知」を中心におこなわれます。

 このことは、動物一般の「視覚」と「聴覚」は、いずれも「触覚による了解」とイコールであることの根拠になるのです。

 社会言語学者の鈴木孝夫が「言葉である」と理解した「鳥」の鳴き声は、「触覚の認知」を中心にした「触覚の了解」を表出しているのです。

 「鳴き声」が、「大脳辺縁系」にある中枢神経の「扁桃核」の記憶にむすびついて表出されれば、「好き」か「嫌い」か、「敵」か「味方」かのいずれかの「合図」が信号として発声されるでしょう。

 鳥を含む動物一般のあらわす「鳴き声」には、「認識」という記憶はありません。ここが「人間の声」(発声)とは違うところです。チンパンジーやサルが、いかに人間に近い動物であったとしても、「認識」という「記憶」の中枢神経を持たないかぎり、「目で見たもの」「手で触ったもの」の知覚を脳の中で「記号として記憶する」ことはできないのです。

 「記号」とは、「認識」のあり方の一つです。なぜかといえば、「対象A」と「対象B」の違いや差異を分かって「違い」や「差異」をあらわす表現だからです。

 その典型が「数学」で用いられる「符号」です。 

「鳥」や「動物一般」があらわす「鳴き声」(聴覚)は、「信号」か「合図」の次元に拡大された「触覚の認知」です。人間でいうと「右脳ブローカー言語野」で「クローズ・アップ」として表象(ひょうしょう)される「視覚のイメージ」だけしか了解されることはありません。

 「鳥」や「動物一般」は、「クローズ・アップ」のイメージが表象(ひょうしょう)される代わりに、「小脳」の運動機能に伝わり、「対象」に、自分の「体」を運ぶのです。

人間の言葉は「認識」の脳のメカニズムが生成する

■さて、ここまで、鈴木孝夫の考察にしたがって、鳥や動物一般の「聴覚」(鳴き声などの発声)の「脳のソフトウェアのメカニズム」を解明してお話しました。

 人間にも、「右脳系」を中心とした「認知」の記憶のメカニズムがあります。人間には、この「認知」に、さらに「左脳系」の「認識」の記憶のメカニズムが加わります。そして、同時に、「右脳系の認知」の記憶も、「認識」に対応した記憶のメカニズムをもつことになります。

 「鳥」や「動物一般」の「知覚の認知の記憶」はストレートに「小脳」へとつながっています。

 しかし、人間の「知覚の記憶」はダイレクトに「小脳」につながるのではなくて、「左脳系の認識」を介して「小脳」につながるのです。このことは、「左脳系の認識」が学習として不完全であれば、「人間」もまた「鳥や動物一般」と同じように「言葉」によらない「信号」とか「合図」だけの行動になることを意味しています。

 このようなトラブルを「聴覚障害」といいます。

 このことについては、さらに、次の本ゼミでくわしく展開します。

学習に役立つ書籍

カウンセラー養成ゼミ NEWSLETTER 第201号 一部掲載


連載
初期・脳のシステムデザインの世界・1
初期・脳のシステムデザインの世界・2
人間の脳は「行動」をどう生成するのか
人間の脳の「自立した行動」のつくり方
人間の脳の働きの行動の生成1.「記憶と行動」のメカニズム
人間の脳の働きの行動の生成2. 「知的記憶と行動」の生成
人間の脳の働きの行動の生成3. 『フロイト先生のウソ』
人間の脳の働きのメカニズム・言葉と行動
脳の働き方のメカニズム・行動停止がつくる破滅
脳の働きのソフトウェアのメカニズム・人はなぜ、「脳のエセ科学」に騙されるのか
脳の働き方のメカニズム・病気の「言葉」と「行動」のつくられ方
脳の働き方の言葉の生成のメカニズム・「気持ち」と共同指示の「認知」と「認識」
脳の働き方「言葉の生成のメカニズム」・「言葉の意味」の生成の構造・2
脳の働き方「言葉の生成のメカニズム」・言葉の『意味』の生成のしくみ
病気の言葉の『意味』の生成・「東京・秋葉原無差別殺人事件」
病気の言葉と行動の生成・「名古屋バスジャック事件」「埼玉県川口・父親刺殺事件」
日本人の病気の脳の働きの起源・父親を殺す中学生の脳の働き方
病気の言葉と性格の形成・「誰でもよかった通り魔事件」
日本人の「性格」のつくられ方・「実践実技講座 言葉の「意味」の表現力とは」
「言葉の生成のメカニズム」 話し言葉の生成・T
話し言葉の生成・II 『幼児の算数』
子どもの脳の発達のさせ方 『幼児の算数』 「早期教育が子どもの脳を破壊する」
話し言葉の生成・III 『幼児の算数』
子どもの脳の発達のさせ方 『幼児の算数』・II
話し言葉の生成・IV 『幼児の算数』
子どもの脳の発達のさせ方 『幼児の算数』・III
書き言葉の生成 『人はなぜエセ科学に騙されるのか』
女性の魅力の最強の知性のつくり方 『幼児の算数』・IV
書き言葉の生成・II 『脳のしくみとはたらき』
「家族崩壊」/エクササイズ・投資に値する女性の知性のための新・性格教育法
書き言葉の生成・III 『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』
「幼児の算数」「脳の働かせ方」のための学習モデルと実践実技
書き言葉の生成・IV
エクササイズ:ポスト「世界同時不況」の、史上最強の知性のつくり方を教えます
書き言葉の生成・V 『共同幻想論』 (吉本隆明) 「ラジオ型言語とテレビ型言語」
「共同幻想論」(吉本隆明) エクササイズ:ポスト世界同時不況の知性の学習モデル
『ラジオ型言語とテレビ型言語・U』 「赤ん坊から見た世界・言語以前の光景」
「共同幻想論・母制論」「未来に希望を描けない若者危機」

参考:脳の働き方の学習のご案内

「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
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女性向けカウンセリング・ゼミ、男性の「女性」対応・ゼミ

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脳と心の解説

教育方針は「教える・育てる・導くカウンセリング」です 。
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女性の「脳を健康を働かせる」!安心と安らぎを分かち合う、が教育のテーマと目標です。「気持ちが安心する。だから、知的に考えられる」という女性の本質を支えつづけるカウンセリング術です。

女性の脳の働きが伸ばす「人格=パーソナリティ」を目ざましく発達させる!が教育の方針です。 女性が社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と、知的に関われる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


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よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
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 自立した女性の性と家庭教育ゼミ
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 戦う男性の社会教育ゼミ
入会も随時受け付けています。
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ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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「第19期」(平成29年・2017年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!
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