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うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.23
『私の脳の働きはどうなっている?』
勉強しているのに全く分からない、すぐに忘れる……一体、私は何のために勉強しているのでしょうか?

■相談の事例

「私は大学生です。勉強は好きです。
毎日、予習復習もやるし、授業だってきちんと出席してノートもとっています。でも、勉強していることが、全く理解できていません、憶えてもいないのです」
(谷口智子。22歳。女性。大学生。松山市)
(注・人物は仮名です。特定の人物、地域、職業、団体とは無関係です)。

■相談の内容

 私は大学生です。勉強は大切なので、勉強する気持ちは人一倍あります。毎日、勉強しなきゃ!! と、家に帰ってきてからも教科書とにらめっこして、相当な時間をついやして勉強に励んでいます。しかし、この頃、やっと自分でも認めなくちゃと思って自覚していることですが、勉強しているのにもかかわらず、「文字」の「字づら」ばかりを目が追っていて内容が全く頭に入ってこないのです。私自身は、本当に気持ちを集中して本を読みます。もちろん、一字一句の文字は分かります。しかし、「文字」とその「意味」「内容」が分離してしまい、いつの間にか文字づらばかりを目が追っているという状態になっています。ひどいときは、本の文字がチカチカして目にもよく入ってこなくなります。

 大学の講義を聞いている時も、先生が話していることはちゃんと耳に入ります。私は、いっしょうけんめいに板書を写します。先生の話す言葉もノートに書き取ります。しかし、「さて、その意味は?」というと全く分かっていないのです。私自身は、「いっしょうけんめいに勉強するぞ!!」と内容を理解するつもりでいるのですが、勉強の言葉とその意味が全く別のものとして分離してしまうのです。
 また、記憶力もすっかり悪くなりました。
 試験前に必死に覚えて頭に入れた内容さえ、しばらくすると自分でも驚くほどきれいさっぱりと忘れてしまうのです。私は、自分の思考が散乱してまとまらなくなっているようです。これは、私の脳の働き方がどこかおかしくて、いびつに歪んでいるせいなのでしょうか。

 私は、中学の時に摂食障害になりました。拒食症です。いちど頭にしみついた食事の観念は今になっても消え去らず、友人の誘いでハメをはずして思いきって食べるとものすごく太ります。付き合いで食事をしても「太る」という恐怖からケーキも一つくらいしか食べません。
 ふだんの食事も主食を食べると「太る」と思い、カロリーの低いものをどんどん食べています。海草やこんにゃくなどをものすごい量を一度に食べます。「甘いものを食べたい」という欲求を抑えているためです。胃がパンパンになるまで食べないと気がおさまりません。胃はどんどん大きくなるし、身体は、だんだんだるくなります。
 それでも一人になると虚しさのためか、胃がはちきれるくらい食べて自己嫌悪におちいっています。明日はもうこんなことは止めよう、と思うのですが、次の日になると同じことをくりかえしています。

 私は、拒食症になったときからすっかり自分に甘い人間になってしまいました。ムリなダイエットをしたために脳の細胞が減って、正常に機能しなくなっていると思っています。

●ポルソナーレの「指示性のカウンセリング」とは、こういうものです

 事例の女性は、大学生です。「勉強ができない」ということを訴えています。
 この女性の語る勉強ができないという悩みは、病的な悩みに見えてきわめて正常な不安が語られています。「勉強するということは、教科書など本に書かれている言葉を学んで、その意味を正しく分かることだ」という自覚や理解があるから、「意味が分からない」「意味を自分の言葉として説明できない」という悩みがよく自覚されています。

 こういう不安は、本当は日本人の誰もが抱えている問題であるはずなのですが、多くの日本人は、「勉強するということは、言葉の意味を正しく分かって、その意味を自分でもよく分かるというときに、そこで初めて勉強した、という」ということも分からなくなっているといえましょう。

 あるいはこうもいえます。
 勉強をして、ある言葉の意味も憶えた。しかし、その「言葉」を現実のものごとに当てはめた時に、その現実のものごとの意味は分からない、ということが起こる。ここで、「学校で勉強したことは全く役に立たない」と考える。けっきょく、自分は、せっかく学校で勉強しても、何も勉強してこなかったも同然だと考える。

 これが、今、多くの日本人が抱えている脳の働き方のトラブルの実体というものです。

 日本人は、学校で教科書で勉強して、本も読んで勉強します。
 書かれている文や文章を読んで「言葉」を憶えるでしょう。あなたもきっとそうしてきたに違いありません。

 ある心の病気を抱えている人が、「私の考えていることはとても重要なことだ。聞いてほしい」と言いました。そこで「重要とは何のことだ」と問います。すると「重要とは、大切ということだ」と答えます。「じゃ、なぜ、大切なことだとは言わない?」と聞きます。すると「分かりません」と答えます。これが、日本人に特有の「言葉を記号として憶える」という脳の働き方の典型です。
 「重要」とは、話の脈絡や筋道になる内容が前提にあって、この中で、他のことや他のものでは置き換えがきかない価値のあること、という意味です。「大切」とは、不必要に使いすぎたり、また、不必要に使わないで初めのままの形や状態に保つこと、という意味です。こういう意味を初めから不問にすれば、精神に異常をきたしている人でも、どんな言葉でも暗記して言いあらわすことができます。言いあらわす、とは「口でしゃべる」「メールで書く」といった程度の「表現」のことです。意味を無視して、現象としてだけあらわすことを「記号として用いる」といいます。心の病いの人が、「重要だ」「大切だ」と言えるのは、その言葉には何の意味もなく、したがって「現実のものごと」とは全くむすびつかないからです。

 こういう心の病いの人が家にいて、「重要だ」「大切だ」と語ればその家族は、ごくふつうの正常そうな発言に聞こえるでしょう。
 意味がデタラメでかつ適当に言っているのだということが分からなければ、「いつか治るのではないか?」と思いこむでしょう。本当は、どんどん悪化して、事態は深刻になっているにもかかわらずです。

 言葉には意味があって、その意味を秩序立てて構成していく、というのが正常な会話ですし、現実を変えていく表現というものです。日本人の「脳の働き方」は、こんなふうに「脳」を働かせていません。その「不安」を多少なりとも安心に変える、というのが事例の女性の「過食症」です。「胃」は自律神経の「副交感神経」が中心になって働くので、リラックス状態をつくるのが「過食症」の脳の働き方なのです。ハイパーリラックス状態がつくられているのです。

 事例の女性は、「太るから主食を食べたくないので、海草やコンニャクを胃がパンパンになるまで食べる」といっています。これは、「太ることを避ける」(本当は甘いものを食べたい)という拒食症の延長での過食症です。「やせることは、女の身体にとって魅力的なことだ」という「性的な自分」をイメージした「美化のイメージ」が表象されています。現実的な意味でも、知的な意味でも「右脳中心」は、正常な脳の働き方を放棄して、「性」という非社会性の世界へ逃亡しはじめている、という病気の発生と進行を診断することができます。



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